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チ ョ コ 3 ページ23

Aside
·

『どうした、の』

発した言葉が固まるのがわかった。
総悟の靴箱に詰め込まれていたのは、可愛く包装された、山のようなチョコ。
総悟は、ものっすごくモテる。最初はそのベビーフェイスで人気に火がつき、現在は顔と中身のギャップまでもが女子に好かれている。

ですよね、なんて誤魔化す。
そりゃ、そうだ、この人、モテるんだもん。

「これ、全部チョコでィ。そういや今日、バレンタインデーか」

まるで気にも止めていないような口調。
きっとこれは、彼にとって日常茶飯事なんだ。
ああ、さっきまで総悟に腕を掴まれて、舞い上がっていた自分が恥ずかしい。
総悟が乱雑にビニール袋に入れていくチョコ達。少し見える中身は、外装同様だいぶ凝っているのがわかって。
あたしは、またリュックを押さえた。気取られないように、軽口を叩く。
ふと向けられる視線があって、少し遠くを見れば、一人の女子生徒が総悟のことを見つめていた。
あたしよりずっと美人なその生徒の頬は、赤く染まっている。
もしかしたら、今日、総悟は誰かに告白されたりするのかもしれない。例えば、あの美人な子とかに。そしたら、付き合ってしまうのかもしれない。
焦り、と同時に、苦しさが喉をおしつぶす。
何だか総悟の隣に立っているのが怖くて、あたしはその場を逃げ出した。


***


『神楽、妙、九ちゃん、さっちゃん…』

大量に作った女子への友チョコは、配り終えた。

『ぱっつぁん、ゴリ、マヨ、ジミー…』

男子への義理兼友チョコも、渡し終えた。

『あとは…』

リュックの底、ぽつんと残った袋に触れる。
そこに入っているのは、総悟への、一応本命の、チョコ。
他のみんなより少し気合を入れて作って、少しおしゃれなラッピングをした、チョコ。
でも、と思い返す。
総悟は、もっと凝ったおいしいチョコを、沢山貰っているんだろう。
あたしのなんて、比べ物にならないくらいの。
思い出してまたため息をつく。

__たった今帰りのホームルームが終わったところで、皆は帰り支度を始めていた。
結局、今朝以来総悟とは言葉を交わしていない。いつもなら昼休みとかに話しかけに行くけど、どうもそういう気分にはなれなかった。

このままじゃ、チョコを渡せない。
行かなきゃという気持ちと、行きたくないという気持ちが、私の中で戦っていた。
ちらりと総悟を見やる。
またため息が出た。


「ね、お前ヒマ?ちょっと頼まれてくんね?」

上から降ってきたのは、担任の声だった。

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みるくれーぷあいす(プロフ) - 氷華さん» ありがとうございます!嬉しい限りです! (2019年12月25日 16時) (レス) id: 147ef4680d (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 神威君ーーーーーーーーー! この小説いいね♪ (2019年12月25日 12時) (レス) id: e5c89771f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月27日 1時

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