ヒ ミ ツ 4 ページ39
沖田side
·
『…あ』
神崎は、いつか見た表情をする。焦りと動揺。
『ええと、これは』
「A、そんな喋るならそうと早く言ってヨ！」
「か、神崎さんが方言！かわいいかも…」
「美人が実はなんとかでした、って素敵」
「ギャップ萌えしちゃうよ俺たち、惚れ直しちゃう」
彼女と俺の秘密は、あっさりとクラスメイトの前に暴かれた。
もちろんクラスメイト達は本来の神崎のことを受け入れないはずがなくて。
入口で固まっていたそいつらは神崎のことを囲む。いつものように。
『え』
「というか、なんで今まで隠してたアルか！？」
『ええと、うち、喋ると止まらないんどす。前の学校の友達にあんたは黙ってた方がええって言われて…』
「マジか理由それか！」
「なんだそれ、健気！？」
京言葉マシンガントークの、本当の彼女。
それが受け入れられ、好かれていることに気づき、神崎は笑顔をうかべる。
青空と太陽とひまわりの笑顔。今まで俺にしか見せていなかったあの表情。
＿＿＿もう、神崎の笑顔は、俺だけの秘密では、なくなってしまったのだ。
神崎たちを横目に、俺は静かに教室を出る。きっと誰も気づいてないだろう。かなり盛り上がっていたから。
「はあ」
形だけのため息。
約束の意味がなくなった今、俺と彼女を縛り付けるものは何も無い。焼却炉で猫を見る前の関係に、戻っただけだ。
「なんだこれ」
俺の感情だけおいてけぼりにした事実上では、戻っただけ。
仕方ない、諦めるしかない。わかってたじゃないか、素の彼女でも受け入れられることくらい。神崎もきっと、直ぐに俺を忘れる。
だからこのクソみたいな恋心も、別に消してしまえば
『沖田はん！』
生徒玄関まで差し掛かったところで、後ろからの声。神崎だ。
なんでこのタイミングで。
「…なんでィ」
振り向けない。振り返れない。
『皆、受け入れてくれはりました！お友達が増えそうどす！』
「それは何よりでィ」
なんだよ、それを言いに、見せつけに来たのかよ。まるで暴走した頭の中でぐるぐると回る幼稚な思考。
『ええ、沖田はんのおかげどす』
「…え？」
思わず後ろを見た。
神崎はにぱにぱ笑顔で、俺を見つめていた。
俺は何もしていない。むしろ神崎と皆が仲良くなる機会を奪っていたようなものだし。
『沖田はんのおかげで、堂々と話せて。もしいきなり現れてたら、きっと焦ってもうて何も話せなかったと思うんどす。沖田はんがうちと仲良くしてくれはったおかけで、慣れたから』
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 鈴神さん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます！これからも鈴神さんにそう思っていただけるよう頑張ります！よろしくお願いします。 (2019年8月24日 13時) (
レス) id: 0de76de774 (このIDを非表示/違反報告)
鈴神(プロフ) - こんにちは！突然ごめんなさい(汗 作品読ませて頂いたんですが、一人一人の気持ちがとても丁寧に書かれていて一つ一つの話にすごく惹かれました！！ほんとに素敵なお話ばかりなのでこれからも応援してます！頑張ってください！！ (2019年8月24日 1時) (レス) id: de3968cf62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるくれーぷあいす | 作成日時：2019年8月13日 1時
