ケ ー キ 《沖田総悟》 ページ11
Aside
·
『ねえそーくん』
きりーつ、れーい、さようなら。さよーなら。
号令が終わってすぐに、幼なじみをとっ捕まえた。
「…なんでィ」
『これ!見て!』
めんどくせぇ、という表情を前面に押し出したそーくんは、私が押し付けたチラシの文字を読む。
「……ラブラブビッグパンケーキぃ?」
登校中配られていたチラシを、何の気なしに受け取ったのが全ての始まりだった。
チラシに載っている、何層にも重なるふわふわなパンケーキ。1番上にはホイップクリームやらチョコレートやらイチゴやらがならんでいて、メープルシロップが垂れている。
『そう。私、食べたいんだ』
直ぐに放課後食べに行こう、と決意した。幸い近所のカフェだったし。
ただひとつ、問題がある。
「なら勝手に食べりゃいいだろィ」
チラシを私に返却して帰ろうとする彼の腕を引っ張って止める。
『ちゃんと読んで』
名前の通り、これはカップル限定である。男女2人の来店で食す権利が与えられる。
『そーくん、一緒に行こ』
カップル限定なのであれば男女ペアで行けばいい。幼なじみでクラスメイトのそーくんを誘うのに理由は必要なかった。
「………あぁもう、わかったわかった」
腕を全力で引っ張って睨んでいると、行きゃあいいんだろ行きゃあ、とそーくんは降参した。
『うむ』
ガッツポーズをとって、私は大きく頷いた。
そーくんは、面倒臭がりで、一見とっつきにくそうだけど、いつも話を聞いてくれるし、頼んだこともやってくれる、本当はすごく優しいヤツなのだ。
「俺甘いモン苦手なんだけどねィ、お前全部食べれんの?」
『食べるよ、もちろん』
この大食いクイーン(自己申告)を舐めるでない。
「相変わらずお前の胃はどうなってんでィ」
『さあね』
教室を出る寸前に、また気づく。
クラスメイト中の視線が、私たちに向いている。まただ。うーん。
私はなんとなく彼らに手を振ると、みんなは呆れた様子で手を振り返してきた。
理由は何となくわかっている。
そーくんは、クラスのみんなの前ではとてもクールだ。だから、そーくんはほかの人と沢山喋ろうとしないし、みんなもあまり話しかけない。よって、幼なじみである私が自然とたくさんそーくんと話すことになる。クールなはずのそーくんが私とペラペラ喋っているのは、きっととても珍しい光景なんだ。
『クールはやめようよ』
本来の優しいそーくんを出した方がいい。
きっと皆、そーくんともっと仲良くなるはずだ。
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 鈴神さん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます!これからも鈴神さんにそう思っていただけるよう頑張ります!よろしくお願いします。 (2019年8月24日 13時) (レス) id: 0de76de774 (このIDを非表示/違反報告)
鈴神(プロフ) - こんにちは!突然ごめんなさい(汗 作品読ませて頂いたんですが、一人一人の気持ちがとても丁寧に書かれていて一つ一つの話にすごく惹かれました!!ほんとに素敵なお話ばかりなのでこれからも応援してます!頑張ってください!! (2019年8月24日 1時) (レス) id: de3968cf62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月13日 1時