- 天使じゃない -

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マホトが俺をここに呼び出したのは、
他の何でもない、彼の気まぐれだったらしい。

俺の名前を知っていたから、てっきり俺が
動画投稿してることを知っているのかと思ったけど
マホトからよく話を聞いていただけみたいで。


初めは緊張していて人見知りに見えた彼女も
少し話せば笑顔が増えてきて、最初の印象とは一変
よく話す子だな、と思った。



「へえ〜！ジンくんも動画してるんだ！」


驚いたのか少し大きい声でそう言うAの頭を
マホトが「声でけぇよ。」と小突いた。

ごめんごめん、と笑った彼女はふと時計を見て
あっ！と驚いたような声をあげる。


「私もう行かなきゃだ！ごめんね。」


慌てて荷物を持って席を立った彼女は、また
あっ！と声をあげて振り返ると

「ジンくんの動画も、また見とくね。」

と楽しそうに笑って去って行ってしまった。



『慌ただしいやつ』とふっと鼻で笑ったマホトは
彼女を見えなくなるまで目で追っていた。







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