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第一歩。 ページ5

赤side。







「…涼太、俺頑張るね。」

そう言って笑った翔太は、儚くて風と共に消えてなくなってしまいそうだった。



生まれた時からの幼馴染。
切磋琢磨して同期として、この大企業に入社した。
本当は翔太と一緒の会社ならどこでも良かった。
ずっと一緒だった。今更離れるという選択はそもそも無かった。

翔太がこの企業に就職したいと教えてくれた時から、俺は鬼のように給料形態や福利厚生について調べた。
身体があまり強くない翔太のために休暇制度も抜かりなく調べた。
それを全て加味しても、この企業はホワイト企業だった。



だから、気づかなかった。


そのたった一言が翔太のSOSだったなんて。




俺達は最初総務部で一緒に働いていた。
社長がすごくいい人で、身体が丈夫じゃない翔太のことをすごく考慮してくれて、一緒の部署にしてくれて。


仕事が始まったのはいいけど、環境の変化や季節の変わり目だったこともあって、体調が不安定な翔太は少し休みがちになってしまって…。
社長直々に、何も言うなと課長や係長に圧がかかっていたため、調子がいい時に頑張って出勤するので何とかやれていたというのが本音。
他の会社じゃ速攻クビだなって、ほんとに感謝しかないよ。

俺はそんな翔太をカバーするかのように、人の2倍仕事をこなした。


翔太が来た時には、プレッシャーになるようなことはできるだけ避けてあげたくて、簡単な入力ものだけを残しておいた。


でも、それが逆に翔太を苦しめる要因になるなんて思わなかった。



まだお互い実家暮らしだったこともあって、家は隣でいつも行きも帰りも一緒だった。
翔太のお母さんは翔太が仕事を休む度に大丈夫なのってすごく心配されてて、辞めさせるんじゃないかと不安がっていた。

俺の親は、家にいない日も多くて、翔太はお母さんを心配させないために休む時はこっそり俺の部屋で寝ていることが多かった。



「翔太、おはよう。」

ここ最近は調子も良くて、順調に仕事に来れてた。
たまにぼーっとしてる時もあったけど、1日をちゃんと終えられた。
今日もスーツを着て準備万端な翔太。

駅までの道のりをいつもの様に歩いていたはずだった。


駅が近付くにつれて、歩みが遅くなる翔太。


「…りょ、た…」

俯いた翔太の顔を覗けば、真っ青な顔色に大量の汗。


「どうしたの?ちょっとそこのベンチ座ろうか。」


心配になり、たまたまそばにあったベンチに翔太を座らせた。

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設定タグ:SnowMan , ゆり組 , 病系
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まな(プロフ) - はじめまして、楽しく読ませて頂いています。私が言うのもおこがましいのですが作者様の作品は丁寧で繊細ですごく好きです。全部好きですがこの2番手が最高に好きです。ゆり組って見えないもので繋がってますよね。こちらの更新も楽しみにしています。応援しています。 (2022年1月10日 13時) (レス) id: ea11267275 (このIDを非表示/違反報告)
愛都(プロフ) - スノMan族さん» コメントありがとうございます!お返事遅くなってすみません汗。素敵と言っていただけて嬉しい限りです。不定期の更新にはなってしまいますが、必ず完結させますので、気長に待っていただけると嬉しいです!今後ともよろしくお願い致します。愛都ーいとー (2021年4月19日 23時) (レス) id: 00be13f8e0 (このIDを非表示/違反報告)
スノMan族(プロフ) - こんなに素晴らしく面白い小説初めてです!!ストーリーも設定も世界観もすべて素敵です!続きがすごく気になります!大変だとは思いますが、更新頑張ってください!応援しています!! (2021年4月14日 22時) (レス) id: e98faca603 (このIDを非表示/違反報告)
愛都(プロフ) - ゆきさん» 初めまして。お返事遅くなってすみません。大ファンとはとても嬉しいです〜。これからもワクワクしていただけるような小説にしていけるよう頑張ります。ゆきさんにとって、お楽しみの時間になれば幸いです。愛都ーいとー (2021年3月2日 20時) (レス) id: 00be13f8e0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - こんにちは。もともと主様の物語の大ファンです!今回のこの物語も私の大好きなテイストで、すでに3回も読んでしまいました!このワクワク感をありがたうございます!これからも応援しています!いつも素敵なお話ありがとうございます! (2021年3月1日 17時) (レス) id: ec12caa5b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:愛都 | 作成日時:2021年2月23日 23時

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