ゾルディック家の次男坊【HUNTER × HUNTER】

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「ん、なにしてんのA…」




『起きたなら離してクロロ』






もぞりと銀色の塊が眼下で揺れた
暖かい気配の中目を覚ましたクロロは眠る前の記憶を思い出した





そういえばAを抱き込んだまま寝落ってしまったのだと、ぼんやりと欠伸を押し殺した





「なに、それ」




『別件の仕事』








この男は寝たのだろうか
手のひらサイズの端末をタップしながら資料に目を通しているようだ、未だ離さないクロロに抱きしめられながら


本気を出せば容易くすり抜けられるだろうに、なぜ彼がそうしないのかクロロには興味深かった








『お前面倒くさそうだもん』







優しさの欠片も無い返答
もっとあるだろ、俺が寂しそうだったとか。
なんて思ったところでAは全てを見透かしている








「でもお前と寝るのは心地いいな、これは本心だ」




『でも、の意味わかんないけど。褒め言葉として受け取っとくわ』






さあもういいだろ、離せよ。


と、言われてしまい名残惜しさを覚えながらもクロロはその腕を緩める
同時に離れていく銀色を纏うAを目で追い続けた









「Aは、寝たのか」





『ん、暇だったからさすがに』





「そうか、見られなくて残念だ」







きっと綺麗なんだろう
警戒心の強い野良猫のような素振りの癖に、その見た目はどの女よりも美しいのだから








『……その目やめて、キモチワルイヨ』







揺れる髪を一つにまとめながらそう吐き捨てた
例えるのなら……飼い慣らされた猫、というところだろうか







「イルミのもの、か」




『ん？』






なんか言ったか？どうせろくな事でないんだろうけど






クロロの様子を気にする素振りを見せながらも
Aは来ていたパーカーを脱ぎ捨てた



自分の荷物から仕事用の服を取り出し袖を通す






『もう行くだろ？』






「ああ、その前に」





『近寄んな、お前が何をしようとしてるかは何となくわかってきたぞ』









目の前の白銀の猫は牙を向けクロロを威嚇する
本気でないものなのは重々伝わるから、クロロはその姿勢すらも楽しんでいた








「可愛がるくらい、いいだろ」




『……下に見られててうざいもん』








ぽん、と頭をそのまま撫でてやればAは拗ねたように唇を尖らせた
成程、この男実にあざといな





「頼むぞA」




『おーまかせろ』








悪戯に笑うAの表情に、この男をどう手に入れようか。思案する

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