ゾルディック家の次男坊【HUNTER × HUNTER】

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「あ、逃がさないよ」




「ひっ」




逃げ出したAの元婚約者を敷地外に出る前に始末した
また色々とちょっかい出されても厄介だしね
亡骸はミケによって骨諸共消化されていった







Aの神経作用はまだ鈍っているだろうなと思いながら自室に戻ると片割れは自分のベッドの上で丸まっていた



急く思いを抑えてあの女の気配をミリたりとも許せずにシャワーを浴びた


歪みきったこの憎しみは結局流れきらず
寝室に戻ってもAはまだ眠っていた




「逃がさない」




誰にも渡さない




俺の、俺だけのものなのに







『殺気やめろ』



「起こした？」



『イルがシャワー浴びてるくらいから』






見下ろすAの瞼が開かれる
その瞳から見るにもう針の効果は切れたのだろう




『何がそんなに不安なんだよ』




黒い髪がAの頬にかかる
普段白を纏うAが、自分の黒を纏っていた


その光景に体の奥がじわりと熱くなる
目の前の片割れを、自分に染めてしまえばいいのか






まあこの男がそんな簡単にいくことではないのは承知だが







「A」




『イル、言うな』







時々、Aと双子でなければと思うことがある
自分の執着心がもう。家族や兄弟、双子の片割れに持つようなものでないとは理解していたし
恐らくAも気づいているだろう






『俺はお前から離れるつもりはないよ。だから言うな』







言ったら最後、俺はお前から離れなくてはいけなくなる





Aが瞳を揺らしながらそう言ったが
その気持ちは理解できなかった



Aが俺のものだと産まれる前からの事実を覆そうとするものなど消し続けてしまえばいい




自分達が双子として産まれ持ったことは意味があるのだと知らしめてしまえばいいだけなのに





Aは自分と離れなくてはいけなくなるのが、怖いのだと








「そんなの俺が許さないよ」



『流石頼れる長男』



「Aはずっと俺のそばにいたらいいよ。
友達も恋人も、伴侶だって必要ない。他の家族とも仲良くしないで。弟達のことだって俺が面倒見るから。
Aはただ俺の事だけ考えてよ」










仕事だってしなくていい
この家の長に立つ十分な器は既に出来上がっているのだから




「俺がAの望む未来にするよ」



イルミの言霊はずるりとAの脳内に入り込む
幼い頃無意識のうちに脳内に打ち付けた其れが今もAの知らないうちに、残り続けている




『分かった』


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