ゾルディック家の次男坊【HUNTER × HUNTER】

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「なに」


『んー別に』



それからというものの
カジノに行きたいというAを何とか自室に押し込めた
本人は不服そうで
先程から態とらしくため息をついている





『いいじゃんちょっとだけ』



「まだ時間あるんだからさ、また今度にしなよ」





幼子を宥めるように
至極真っ当なことを言いつければAは口を尖らせながらも黙る




「にしても相変わらず、綺麗に殺すね」



『死ぬ時くらい綺麗でいたくないか？』




この男は本当によくわからない
人間なんて死んでしまえばそれで終わりだと言うのに
挙句この男は海の底にソレを鎮めてしまったというのに
水死体なんて、1番醜い成れ果てになるというのに


この片割れは本当に、何を言っているのだろうか






「お前のそういうとこ、嫌いじゃないよ」



『ん？』




人畜無害そうな面をしていて
それなのにAがこんなにもイカレてるのを知ってるのは……俺くらいなのか







「Aって周囲にゾルディックって知られてないわけ？」




『うん、ハンター名もAだけ』



「そ」





じゃあ俺だけだ。へえ、いいねそれ






『お、機嫌よくなった？』



「殺すよ」



『まだかぁ』






ヘラりと笑ったその顔を覗き込んでやると、Aは不思議そうに首を傾げる
Aは俺と違ってコロコロと表情を変えていく、
本当に双子なのに似ていないな





『なに、イル。言って』





「あんな家畜同然の女と仲良くされるとムカつくんだけど」




『お？素直だな』





はあ、本当にムカつく
今回の仕事でAは随分調子に乗っているみたい
よしよし。と俺の髪に指を通す





「そんな匂い纏わせないでくれる？」



今となってはもう海の藻屑とかした元人間の付けていた香水が、Aの体からふわりと舞った
息を止めたくなるほど下品なそれはAに似合う訳もなく




煮えたぎる腹の中の感情を抑え込むのはもうやめた
ムカつく対象である片割れをベッドに投げると
不甲斐ない声が飛んできた。どうでもいいや





「お前が双子じゃなかったら、躾てやってるのに」



『俺はお前と双子でよかったよ、イルミ』





ベッドに広がる銀髪を掬う
忌々しい感情と愛おしい片割れの存在を消し去ってしまいたい

ただの双子だったら、楽だったのにーーー






「お前の片割れは誰？」



『お前だけだよ、イルミ』





あはは、馬鹿みたい
本当。馬鹿みたいだよ俺




『イル嬉しそう』




あー殺したい



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