5-44 ページ44
「情けない、愚か者め貴様はなんて詰めが甘いんだ貴様は」
背を向け応答しない私が気に食わないようだ。捲し立てるように上から言葉を落とし続けてくる
「おい、聞いてるのか」
『いつからおしゃべりが得意になったのよ、ロキ』
再び私から毛布を奪ったロキ
かなり不機嫌そうだが傷心の時間を邪魔されている私だって貴方に負けない位不機嫌である
「話をきけ」
『話？罵倒にしか聞こえなかったけど』
ロキは呆れたようにため息を吐き奪った毛布を投げるように私にかけベッドに腰を下ろした
「どこまでも腹が立つ女だ」
ゆっくりと彼の顔が近づいてくる中で脳内の奥底からジワジワとノイズ音が広がってゆく
『……ロキ』
気づけばそこはヒドラに捕らえられていた基地の部屋
冷たいコンクリートに囲まれて手足は鎖に繋がれている
"「……何をしている」"
目の前の彼は私に針を通すわけでも、暴力で行使する訳でもなく翠色に満ちた瞳は悲しく揺れ薄い唇を噛んでいた
"「待っていろ」"
私の顔に伸ばした手はするりと抜けていった
絶望と憎しみに渦巻く心が少しだけ優しさを取り戻す瞬間だった
私の洗脳が薄くすぐに我を取り戻せたのはどうやら彼のお陰だったらしい
変わらずロキに至近距離で見つめられるが、自分勝手に感情をぶつけかけてしまったせいで非常にバツが悪い
ｰｰｰｰｰｰ『ありがとう、ロキ』
素直に感謝の気持ちを述べようとした時、寝室の扉が物凄い音を立てて勢いよく開き思わず体を揺らしてしまった
「ロキ！！！貴様俺を置き去りにしてこんな所で何を！Aがこんな場所に居るとでも！………A？」
『Oh…ソー久しぶり』
無残な姿の扉を見つめ今にもハンマーを振り回しそうな勢いの男。ロキはそんな彼をみてやれやれ。といわんばかりの顔をしているがそれに関しては同意だ
『A！久しぶりだな、俺に会えたのがそんなに嬉しいか！』
この男は何故こんなにも興奮しているのかわからないが勢いで抱きついてこられそうになったのでロキに助けを貰いながら遠慮して頂いた
『で、神兄弟が2人も揃ってなんの用？』
再開を喜びひと段落した所で本題を問いただす
すると2人は珍しく顔を見合わせて頷きあった
「アスガルドに行くぞA」
『あー…お断り』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 88人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ホーク - 更新楽しみに待ってます！とっても面白いです！ (2020年10月25日 19時) (
レス) id: 914afb4dd5 (このIDを非表示/違反報告)
M-tAnt(プロフ) - 初めまして、今日初めてこの作品に出会いました。読み進めていくうちにどんどん引き込まれます…MCU大ファンの私にとって願ってもみない素晴らしい作品です！ロキが大好きな私にとって、主人公との絡みが私得すぎてもうなんと言っていいか…本当に有難うございます！！ (2020年9月15日 18時) (レス) id: 916efa1534 (このIDを非表示/違反報告)
はな - 更新楽しみにしてます！ (2020年9月10日 22時) (レス) id: 0a0d47c786 (このIDを非表示/違反報告)
no non(プロフ) - 更新待ってましたぁぁぁ！結末が一体どうなるのかめちゃくちゃ気になります！更新応援してます！ (2020年8月27日 19時) (レス) id: de80b1f653 (このIDを非表示/違反報告)
Ruby(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (2020年8月18日 22時) (レス) id: ccc02d9cf9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リオハ | 作成日時：2020年4月1日 16時
