Hug me, kiss me! -2- (ページ32)

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82 who calls me? ページ32

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午後9時。

病院で精密検査を受けて、
後に入っていた仕事を断って、マネオッパに送ってもらって宿舎に戻ってきた。

マネオッパはこの後も色々事後処理に忙しいみたいで、私を送ってすぐ事務所に戻った。

「は～～………」

……サイン会、中止になっちゃった。

楽しみにしてた人が、
きっとまだたくさんいたはずなのに…。

それを思うと、すごく申し訳なくなる。

………だけど、
あの後も同じ場所に座ることは、
私には出来なかった。

ーーーあの瞬間、
一瞬で、頭の中が真っ白になった。

ただの水なのに、
身体中がびりびりと痺れて。

"怖い"

その感情だけが、頭を支配した。

………ペンの皆と近付けるから、
大好きなイベントだけど。

それと同時に、
人と触れ合うことが、こんなにも危険で、怖いことなんだと思った。

体の震えが止まらなくて、
人間不信になりそうだった。

幸い、
あの後はずっとマネオッパが私の隣で肩を抱いていてくれたから、

震えも収まって、少し落ち着いたけど。

…………それでもまだ、
あの瞬間の映像が、まぶたの裏にこびりついてる。

思い出したくないのに、
目を閉じるたびに、思い出して。

…………怖い。

一人でいるはずなのに、
誰かに見られてる気がする。

……やば、
また、震えてきた。

どうしよ、
マネオッパは、仕事で来れないし。
誰も、ここには来てくれない。

頭では分かってるけど、
震えは止まってくれない。

一人でいたくない。

誰か…………、

「ヒョギ…………」

ーーーーその時、

♪～～♪～～……

今の私とは不釣り合いな、
明るい着信音。

ずっとカバンに入れたままだった携帯が音を立てる。

縋るように、
震える手で携帯を探し当てて、通話を開始する。

聞こえてきた声は、
求めていた、大親友、

『お前、今どこにいる？』

………では、なくて。

「…………宿舎」

そう答えると、
おし、と一人でに納得してから、

『下降りて来い。早く。今。すぐ。』

………こんな時まで、自由奔放。

はあ？と思いながらも、
タイミングの良すぎる連絡に、

私は携帯と部屋の鍵だけ掴んで、
言われた通りに、宿舎を出た。

ー