incompetent-悲しみの構図- (ページ19)

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母さんは明らかに動揺していた

友達を連れてきたことがない息子が連れてきたことにびっくりしてるのか開いた口が塞がらない模様

「わたし、北斗くんと同じ学校の武田Aです。」

あ、これよかったら。といって手土産を渡す
母さんがなにか変なことを言い出す前に脱いだ靴を揃えた彼女を部屋に連れて行った

「お母さん綺麗だね」

そう？といえば

「親がいるだけでも有難いのに、綺麗で優しいなんて最高じゃん」

「一瞬しか会ってないのに優しいかなんてわかるの？」

「わかるよ。こんな無愛想な息子、立派に育ててるんだから」

余計なお世話だ…と言いかけたが彼女から遮られた

「親がいるって幸せだよ。私はもう会いたくても会えないんだもん。」

そう言われたら、何で答えればいいか分からないじゃないか

一瞬しんとするも彼女はすぐにまた話し出した

「あれ？ここ笑うとこ。」

「全然笑えないから」

そういえばへへへと代わりに彼女が笑った

「なんか飲み物とってくる」

そう言って部屋を出ると母さんがドアの前に立っていた

「なにやってんの？」

「すごい可愛い子じゃない！彼女？」

「違うよ。なんか飲み物ない？」

否定しながらキッチンに向かえば着いてきた母さんがまた質問してくる

「えー本当に友達なの？彼女じゃないの？」

興奮気味の母さんはきっと否定してもこの話は終わらせないと判断して麦茶を２つコップに注いで急ぎめに部屋に戻った