意識しろよ【悠】下 ページ10
悠side
Aの働いているカフェに着く頃には8時はとっくに過ぎていて
帰ってしまっているんじゃないかって不安になる……
走って乱れる息
早くなる鼓動
焦っているのがすぐに分かる。
A｢……はるちゃんおそーい！おーい！｣
手を大きく振るA
この表情は幼なじみとして接する時の表情
悠｢……ごめ、ん……っ。｣
A｢めっちゃ頑張って走ってくれたみたいだから許すー。
さ、帰ろ！｣
歩幅を合わせていく帰り道
なぜか今日はいつも通りの雰囲気になれなくて……
悠｢……あそこのカフェで働いてるの聞いてないし。｣
A｢だって、恥ずかしかったんだもん。はるちゃんより稼げてないし｣
悠｢そんなの関係ないでしょ。｣
素直になれない自分に腹が立つ。
A｢今日のあの態度、なんだったの。はるちゃん。｣
悠｢……あのバイト先の男の人の事、好きなの？｣
A｢ちょっと、質問に答えてよ。はるちゃんらしくな『俺らしいって！！！』｣
悠｢俺らしいって何だよ……｣
幼なじみとして楽しくワイワイしてる俺？
ばあちゃんっ子でいつもAとご飯を食べてる俺？
ただのバイト先の男にも嫉妬するのも俺だよ。
悠｢……もっと、俺を意識しろよ…A……。｣
A｢それってどういう…｣
言うな……
言うなって……
たった２文字でこれまでの関係が崩れてしまう。
だから、言うなよ。
・
悠｢好きなんだよ、Aが……｣
A｢……え。｣
止められなかった。
・
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作者名：てる | 作成日時：2024年2月2日 0時
