sweet*and*sour…258 ページ18
“嘘吐かないでよ…！”
悲痛な声。
慣れてたとかそんなわけないじゃん。
僕だっていっぱいいっぱいだったの伝わってないの？
そんな軽々しく思われてたのかよ。
カッとなり思わず言い返す。
「じゃあ嘘だったとして君はどうしたいわけ？」
「どうって…」
「他の子と慣れてたって言葉聞きたいの？」
「！」
「君以外の子に触りましたって？」
敢えて意地の悪い言葉を選んだ。
「誤魔化そうとするのが嫌だったの！」
「誤魔化してないって。」
「口滑らせたって顔してたくせに。」
「…」
「言い訳するくらいなら最初から言ってよ。」
慣れもしないことを“慣れてる”って？
したこともないことを“した”って？
「私だっていっぱいなのに蛍は待ってくれないし。」
分かってる。
彼女も苛立っているから責めていることも。
普段なら言わなかった小さな不満を蒸し返しているのも。
「何それ。好きな子に触りたいと思うのは悪いわけ？」
「ペース考えてよ。」
「付き合うってそういうことじゃないの？」
「！」
「さっきから君自分の保身ばっかじゃん。」
「ッ、」
あ、待って。
今かなり嫌なこと言ったかも。
傷付いた顔にハッとしても遅い。
「…たのに…」
「ッA、」
「―――…蛍のこと信じてたのに！！！」
「！」
一際大きな声。
こんなに大きな声を出しているところも
悔しさで涙を滲ませているところも初めて見た。
「頭冷やしてくる。」
「待っ、」
僕から退いて去ろうとする彼女を追いかけるが
思いきり手を払われる。
「ご飯は食べていいから。残ったら捨てといて。」
「待ってよ遅くにどこ行くわけ。」
「どこだっていいじゃん。」
「何かあったらどうするんだよ！」
「蛍には関係ない！」
「は？」
――――…ﾊﾞﾝｯ！
慌ただしく玄関扉を開け放って出て行ってしまった。
寝間着姿だ。持って行ったのは携帯と家の鍵くらい。
え、財布は？防寒対策は？
「え…？は！？ちょっと！！」
とりあえず彼女の財布と羽織物だけ引っ掴んで外へ出る。
右を見ても左を見ても彼女は居ない。
こんな遅くにどこ行ったんだよ…！
この近くならコンビニか？公園か？
ちょっと外の風当たったら帰ってくるかもしれないが
そんなのを黙って待っていられるほど余裕は無かった。
――――――…prrr
《おー月島珍し、》
「日向！？Aから連絡来てない？」
《え？来てねーけど…お前今走ってんのか？》
「ッそう。じゃ。」
《は？いきなり…はァ！？》
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作者名：愛羅
| 作者ホームページ：
作成日時：2014年10月31日 20時
