sweet*and*sour…256 ページ16
――――――…
「蛍〜ご飯できたよー。」
キッチンから彼に声をかけた。
「…あれ？」
お風呂から上がってさっきまでソファに居たのに。
居たら大きいから分かるんだけどな…
横になってる？？
「蛍？…あ。」
「すー…」
寝てたのか。
髪はちゃんと乾かしたみたいだが
寝落ちたらしく雑誌をお腹の上に乗せて眠っていた。
“何か手伝うことある？”
いつもは後ろから覗き込んでくるから
静かだなとは思っていたけど。
「部活お疲れ様。」
あれだけ頑張って動いてたら疲れるよね。
きっと好きじゃなきゃできない。
ご飯はもう少し後でもいっか。
彼が横になっている腹部あたりの空きスペースに腰掛け
そのまま眼鏡だけ壊れないように取る。
「…」
こうやって無防備な寝顔を見ていると
安心してくれてるみたいで嬉しい。
前に気が張るところでは眠れないって言ってたし
合宿所にはアイマスクを持っていってるからね。
最近の彼は心臓に悪いのだ。
彼はもっとあっさりしてるタイプかと…
接触もあんまり好まないと思っていた。
“触りたい”
「…」
う、嬉しいけど！
私だって彼にくっつかれるのは満更でもないし
くっつきたいなと思っていなくもない。
“ いつでもドウゾ。”
「(ちょっとだけ…)」
彼の広い身体の上にそのまま上半身を倒す。
あったかい…
ベット扱いしてるって怒られるかな。
ちょうど胸に耳を当てると彼の心音が聞こえてきた。
「(生きてる音…)」
自分とは違う人。違う身体。
私がドキドキしてるから彼の鼓動はよく分からないが
馴染んで合わさっているみたいで心地が良い。
「蛍…だいすき。」
どこが良いかって全部好き。
そりゃあ日常会話の中で文句程度のお説教もあるが
他人同士だから全ての価値観や意見が合うわけじゃない。
別の人間として彼のことは尊重しているし
彼もまた私に妥協しているところもあるだろう。
“ 君からもして良いよ。”
「…」
盛り上がり過ぎかな…
昨日の今日で何回？
５回か…
「ッ待って…本当に狸寝入りも限界。」
魔が差していると彼が目を開く。
「！！？」
「…君からするまで狸寝入りしようと思ってたのに。」
「お…起きてたの！？」
「そりゃあ流石に上に誰か乗ってたら起きるよ。」
「そんな初めのほうから…」
「で？今なら大歓迎だけど？甘えんぼ。」
「！」
彼が自分の唇を指で叩いた。
「や、あの、ご飯が、」
「ここまでしといて逃さないけど。」
「は…離して…」
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作者名：愛羅
| 作者ホームページ：
作成日時：2014年10月31日 20時
