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sweet*and*sour…255 ページ15

――――――…


「ただいま。」


“おかえりなさい!”


「…?」


元気な声がない。
彼女を帰らせてからも話題は僕ばっか。

やれ馴れ初めだの手は繋いだかだの…
他人に関係無くない?
全部適当に返してきた。

喋った分疲れたし元気な声が恋しかったのだが…


「A?」


夕飯の支度は済んだのか良い匂いはしている。
また風邪でも引いて寝込んでるんじゃ…


「すー…」
「なんだ。寝てたのか。」


リビングへ入ると彼女がソファでうたた寝していた。

随分と平和な光景だ。
座った状態のままコクリコクリと舟を漕いでいる。
彼女も部室で質問攻めにされて疲れてたんだろうな…


「A。ただいま。」
「ん…」
「身体痛めるよ。寝るなら横になったら。」
「…けい…?」


蕩けた瞳と目が合った。


「おかえり…」


ふにゃっとした無防備な笑顔。


「(…は?)」


何それ…狡くない?
彼女に迎えてもらうとそれだけで苛立ちも疲れも
誤魔化せちゃうんだから大したもんだよね本当。

自分が浮かれてるなんて思いたくない。
付き合ったばっかりなんだし。
こんなもんデショ。多分。


「うん。おはよ。」
「ふぁぁ…ごめんウトウトしてた。」
「疲れてたんでしょ。」
「ん〜…!」


大きく伸びる彼女にそのまま顔を近付けた。


「んむ…」
「ただいま。」
「…へ?…え!?」


想像通りの反応だ。
口に手を当てて目を見開いている。


「まだ慣れないね?」
「ッ…ただいまのキス的な…?」
「いや…まあタイミング的には…?」


別にそんなつもりじゃなかったけど
習慣化するならそれも有りだな。


「したい?毎日しよっか。」
「そ…それは心臓止まっちゃうからちょっと保留で…」
「大事件じゃん。早く慣れてよ。」
「無理…」


僕だって慣れたわけじゃないけどさ。
好きな人に触りたいと思うのは普通のことだし
後は恥ずかしがるかどうかだろう。

彼女が僕の分も恥ずかしがってるから
逆に冷静を保てるだけで。


「まあ僕はしたいときにするからいいけど。」
「えッ、」
「君からもして良いよ。いつでもドウゾ。」
「ハードルが高いよ…先行かないで…!待って!」
「嫌。ゆっくり付いてくれば。」


いっそショック療法にするか。
噛み付いてやれば良かった。


「ッお風呂!とりあえずお風呂入ってきて!」
「逃げた。」
「私の心臓に休息をください。」
「えぇ…君今まで寝てたじゃん。」
「いいから!」

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作者名:愛羅 | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年10月31日 20時

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