もるでお ”「期間限定の家庭教師」“

･　2　帰宅 ページ3

「ただいまー」



学校から帰り、とりあえず自分の部屋に荷物を置きに行く。



「おかえりー」



母の言葉を聞き流して、冷蔵庫からサント○ーの烏龍茶を取り出す。


ゴグ…… ゴグ……


いい飲みっぷりだなぁーと自分で思いつつ母のいる居間に適当に腰を下ろす。



「あのさー」



ゲームをしている母に声をかける。


「んー？」



ゲームしながらでも、一応私の話に耳を傾けてくれるらしい。



「今さ、塾も行ってないし、何もしてないし、さすがにこのままだとやばいと思って…」



「そう言えばさ。お母さんもあんたに話があるの」


ゲームをしていた手を止め、母は視線を私に移す。


「これ見て」


母が近くにあった紙を私の方へと差し出す。


「何これ…」


とりあえず見ろってことなのか母は何も言わない。


「えーっと…何なに。……きかんげんてい？」


聞いた事のない言葉…しかも期間限定って何！？


「どゆこと？」
　

いくら差し出された紙を見ても、特に詳しいことは書かれていない。

明らかに怪しい紙を見ろっていう母がおかしいのか、それともよく理解できない私が悪いのか。


「まぁ、とりあえずやってみれば？どうせ長く続かないあんたには丁度いいでしょ、これ」


母は期間限定と書かれたところを指差す。


「っていうか、もう頼んどいたから」


そう言い終わるなり、母は再びゲームへと視線を移した。

ただ一人母の言ったことを理解できない私を置いて。

･　3　とりあえず→←・　1　思いの他

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