――― ページ48
『A？……いる？』
練習着から私服に着替えた彼が、ロッカーから出てきて、控えめにそう呟く。
「ここにいるよ。……お疲れさま。帰ろっか。」
そういって彼の手を握ると、彼はすこしずれた視線で私を見つめ、そっと微笑んだ。
練習中の彼はチームで作った原色やネオンカラーが目立つTシャツ姿。
でも私服の彼は、白と黒が基本のスタイルで……。
“自分じゃ色とかわかんねーし。何着たら良いか考えるのめんどくさいからさっ”
って、そういって笑うの。
ただの白シャツにジーパンなのに相変わらずかっこよくて私はおもわず目をそらした。
『確かにさぁ……思い返してみたらお前の声してたわw』
彼が不意にそう呟く。
「またまたぁ。……全然ノーリアクションだったじゃん！
そもそも腕掴んだときテンパりすぎだからねっ！w」
『ははっ。……あれはマジ焦った。お前ら悪趣味だからっ！
しってる？俺、全盲の部類に入るんだよ！？手動弁のレベルなんだよ！？
目の前になんとな〜く見えてる人影、必死に見てたからね。』
「ごめんごめん。……でもよく私だってわかったね。
そこは……ちょっと嬉しかった。ふふふっ。」
『あっ！ほらっ！！その笑い声！w それは完全にAだからっ。声だしたらこっちのもんだってw』
背の高い彼は、私の肩に手をおいて歩く。
右手には白杖。
すっかり暗くなった帰り道。
同じ目的地に向かってならんで歩く。
『……あとさぁ。』
そういって私の腕をプニプニと触る彼。
『これも、絶対お前じゃん？w』
「はぁ！？……あー！もう今からダイエットするしっ！」
『うそうそっ！しないで！Aちゃ〜ん？お願いっ！これが好きなのっ！らびゅ〜』
「樹うるさいっ！」
END
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 265人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：nico | 作成日時：2020年9月4日 9時
