輝く個性の物語【スト＊短編集】 (ページ45)

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もっと高みを目指して blue 視覚障害ページ45

視覚障害で、パラクライミングの選手のblueと、社会人の彼女のお話。

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「上っ！そお！！それっ！」

「もっと左左っ！それそれっ！ないすっ！」

目隠しをして、パラクライミングをする彼を見守りながら、ついつい熱くなって声をあげる。

彼はパラクライミングの選手で、進行性の目の難病を抱えている。

少しずつ……でも確実に見えなっていく。そんな彼を支えているのは、紛れもなくこのパラクライミングだった。

“なんかさぁ、才能あるみたいなんだよねぇ～。世界目指しちゃおっかなぁ～”

なんて……。病気の進行で、出来ないことが増えていくなかで、たまたま体験してみたパラクライミング。そこで彼は思いもよらぬ才能を発揮し、そのままその世界にどっぷりと浸かった。

いつもは大切な試合こそ応援に行くけど、普段の彼の練習に顔を出すことは殆どない私。

でも今日は……

“たまには来てやってよ。最近スランプみたいだからさっ”

って、そう彼とペアを組んでるコーチの森本さんに声をかけられて、仕事帰りに練習中の彼のもとを訪れていた。

こっそり覗いて帰ろうかな……なんて。

そんな風に思っていたのに、結局回りの人に紛れて声を上げて応援してしまった自分……。

でも、クリアすることを目指して一心不乱に目的のホールドを手探りする彼は、私の存在には気づいていない様子だった。