輝く個性の物語【スト＊短編集】 (ページ43)

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＊ほんとのきもち＊red ページ43

『忘年会？……えっ？会社の？へぇー……。いいじゃん。楽しんできな。』

なにかとせわしない年の瀬。

私は数日後に会社の忘年会の予定が入って、同棲中の彼にその事を話していた。

……けれど、私はなんとなく後ろめたくて。

彼は進行性の目の病を抱えていて、いわゆる弱視っていうやつ。

もともと人が好きで、飲み会もしょっちゅうだった彼。

それがもとで喧嘩になったこともあったっけ。

でも病気の進行とともに夜出歩くくのが難しくなって……。

“『だいじょぶだいじょぶ。Aといられるから、俺は幸せだよ。』”

って笑うけど、絶対寂しいよね。病気のせいで、悔しい思いだって沢山してるはずなのに、それを表に出さずにいつもの私に笑顔をくれる。……彼はそんな人。

「ごめんね。今回はお世話になってる上司が主催だから断れなくて……。」

『hahaha。俺のこと気にしてくれてんの？優しいねAは……。』

私のそんな下手くそな言い訳みたいな話も笑って受け止めてくれて、“大丈夫だよ”って、ぽんぽんって頭を撫でてくれる。

でもずっと一緒にいたから感じる彼の寂しそうな表情。ほんの一瞬だったけど……。

「なるべく、早く帰るから。」