輝く個性の物語【スト＊短編集】 (ページ37)

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「痛っ……。」

白杖を彼に手渡した瞬間、手首に痛みが走って思わず声がもれる。

『えっ？』

その声に反応して、心配そうにこちらに顔を向ける彼。

『もしかして……どこか怪我されてますか？すみません。僕のせいですね。』

「い、いえっ。違うんです。……これ、職業病みたいなもので……。腱鞘炎っていうか。……とにかくっ、あなたのせいではないので、気にしないでくださいっ。」

申し訳なさそうにそう謝る彼を見るのが辛くて、必死にそう伝える。

彼はへへっと笑って、

『良かったら、僕に見せてくれませんか？……僕、ここの整体師なんです。あっ、お時間大丈夫だったらですけど。』

そう言ってすぐ裏の整骨院を指差した。

『ぶつかってしまったせめてもの償いです。さぁ、どうぞ。』

ふんわりとした彼の雰囲気に、すっかり飲み込まれていた私。

いわれるがまま、彼の後に続き整骨院に入り、彼の診察を受けた。

外とはうってかわって、まるで見えているかのように動き回る彼に、

「あれっ？目……見えてるんですか？」

なんてストレートな質問をしてしまったり。

でもそんな私にも彼は優しく微笑んで、

『弱視、なんです。外はもう暗いから……あんまり良く見えなくて。……でも中だとある程度明るいので……。あとはなんとなく場所とか把握してると動きやすいんですよ。』

って包み隠さず教えてくれた。