輝く個性の物語【スト＊短編集】 (ページ27)

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“？”

私の視線に気づいた彼が私に視線を向ける。

「あっ……！ごめんなさいっ。つい見ちゃってて。いきなりびっくりしますよね？……っていうか……何、描いてるんですか？」

彼の視界に自分が入ったことで焦ってしまって、支離滅裂にそう伝える。

彼は困ったように笑って、そして自分の耳を指差し、両手の人差し指でばってんを作った。

“ごめんね。”

きっとこれは“手話”。

そっか……彼は、耳が聞こえないんだ。

「な、に、か、い、て、る、ん、で、す、か？？？」

伝わるかなって思って、咄嗟に自分なりに考えた結果、出来るだけ口を大きくあけて、ジェスチャーも交えてそう伝えてみる。

『ふふっ。』

そんな私の姿が滑稽だったからか、彼は小さく声を出して笑って、“ちょんちょん”っとそのスケッチブックを指差した。

「見てもいいんですか？」

話の流れ的に内容を理解したのか、彼は“うん”と頷き、おいでおいでと手招きをした。

そんな仕草の一つ一つがいちいち可愛くて、ドキッとする。

彼のスケッチブックを除くと、そこには小さな花やカタツムリ、てんとう虫などのデッサンが並んでいた。

“いつもは、絵本の挿し絵とかを描いてるんだ。

今日はその視察。

イメージを膨らませようと思って。”

彼は小さなメモ用紙に、さっとそう書いて伝えてくれた。