輝く個性の物語【スト＊短編集】 (ページ13)

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母「来てくれたのね。」

どこか辺りをうかがうようにその人は言う。

「はい。……北斗さん、いますか？」

その人は静かに頷くと“どうぞ”といって私をリビングに招いてくれた。

母「驚かないで、聞いてほしいんだけどね……。」

今思えば、その時聞かされた言葉を、私はうまく理解することはできなかったんだと思う。

……ただ、彼に会いたくて、彼が愛しくて、その感情ばかりが先走っていた。

お母さんから聞かされたのは、

彼が病気を抱えていたということ。

そして、急に病状が悪化したということ。

そして……今暗闇の世界にいるということ。

母「今ならまだ間に合う。あなたには、他の人と幸せになるという選択肢もあるのよ？」

彼の母としてではなく、一女性として……人生の先輩としてその人はいう。

「いえ。会わせてください。……会いたいんです。」

私は迷うことなく答えた。

母「そう……。ありがとう。北斗の部屋に案内するわね。」

お母さんの後をついて階段を上がる。

二階の角部屋が北斗の部屋らしい。

ただただ彼に会いたかった。

“ｶﾁｬ”

お母さんが北斗の部屋のドアを空ける。

母「入るわよ。」

お母さんに続いて私もその部屋に足を踏み入れた。