狂おしいほどに愛してる

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私がリンクサイドに戻った頃にはもう観客も帰り始めていた。


「朝倉さんも帰る支度していいわよ」


「えっ、もう良いんですか？」


連盟の人にそう言われて少し驚く。


「初日なんだし、ゆっくり体休めてね」


「はい、ありがとうございます…！」


私はバックヤードを歩きながら時計を見た。

もう21時か…早いなぁ。
さて、帰ったら何しよう。とりあえず夕飯食べたいけど作るのも面倒だし何か買って帰ろうかなぁ。


「あの、すみません、少しいいですか？」


「え？」


会場を出たと同時に知らない男性に声をかけられた。

手にはボイスレコーダーらしきものが握られていた。


「あの…記者の方ですか？」


「はは、よく分かりましたね笑」


「私になにか？」


「あなたはどういった関係者の方で？」


「え…施術師ですが…」


「…なるほど……あなたは選手とお付き合いは？されてますか？」


「はっ！？何言ってるんですか！？」


何なのこの人。こんなストレートに…失礼極まりない！


「どうなんです？」


「そんなのあるわけないじゃないですか！それに私はスケート連盟に配属されたばかりなんですよ？有り得ません。」


「では長い間スケート連盟に属されているトレーナーさんたちは選手と恋愛関係になったりしてるんですか？羽生選手とかどうなんです？」


「そういうとじゃありません。しかもなぜ羽生選手なんですか？関係ないですよね？」


この記者ほんと性格悪すぎだな。
どうしよう、変なのに絡まれた…ここはもう強行突破で……


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