狂おしいほどに愛してる

#40 ページ42

.


そして、ついにNHK杯がやってきた。



私も羽生くんも久々の日本だ。



「あぁ〜やっぱり日本は落ち着くなぁ！」


「…………いやまだ飛行機だけど…。」



あ、まだ着いてはいなかった……

どうしても日本に向かっているというだけで既に着いた感覚になってしまうみたいで羽生くんにまで突っ込まれた…



「日本に着いたらさ、また色々と大変かもしれないけど……頑張って2人で乗り越えよ？」


羽生くんはやや首を傾げて私を真っ直ぐ見据えながらそう言った。

その姿はGOE満点…とか思ってる場合じゃない。



本当に日本に着いてからが心配だった。


「うん、ありがとう。」



今、SNSやメディアを通して不確かな情報だけが錯綜していると思う。

それに一番敏感になっているのはファンだと思うしとりあえず何事も無く無事に羽生くんが試合に集中できることを願うしかなかった。



所詮、私には選手の身体のケアしかでなきない。
なりたくてなった仕事なのに何とも皮肉だ。


「…羽生くんのさ…心のケアもしてあげられたら良いのにね、ごめんね無力で。」


「何言ってるの？俺にとってAが隣に居てくれるだけでもう心のケアになってるよ。」



羽生くんのその一言に逆に私がじーんと来てしまった



「あとさ、…」


「ん？」


「俺、NHK杯で絶対優勝するから。」


「うん羽生くんなら絶対優勝するよ笑」


「そうしたらさ、ご褒美、ちょうだいね？(ﾆｯｺﾘ」


「…ん？ご褒美？」


「じゃ、俺は少し寝るね！」


「えっ、ちょ！」


そしてくるっと向こう側を向いてしまった。


.

#41→←#39

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す