狂おしいほどに愛してる

#20 ページ21

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「羽生くん、今日の演技すごかったよね、フリーの。」

「失敗しちゃったけどね笑」

「確かにミスはあったかもしれないけど全然目立つような大きいミスじゃなかったしとりあえず演技がすごすぎてそんなミスなんて忘れるくらいだったよ！」


ノーミスだけの演技が必ずしも良いとは限らない、と私は思う。
どれだけ観客やジャッジを魅了できたか、引き込めたかによるんじゃないなぁと。


「まぁそう直接言われると嘘でも嬉しいかな」

「嘘なんかじゃな……わっ」


その瞬間に羽生くんは身を翻してぐっと私を引き寄せた。
私はどさりと倒れ込んで羽生くんにそのままぎゅうっと抱き締められる。


「え、ちょ、」

「ねぇ、一昨日の返事は？」


羽生くんの腕にさらに力が入る。


"ずっと俺と一緒にいてくれない？"


あのときの言葉が私の脳裏をよぎった。
動揺していて全くそれについて考えていなかった。
さすがに忘れてたは申し訳ないよなぁ…
でも私自身、まだ覚悟ができていない。こんなトップアスリートである羽生くんと付き合うなんて……。


「えっ…と……私ね、まだ自信がなくて、」

「それは？どういう自信？」

「羽生くんと付き合うっていう…、だって羽生くんは日本が世界に誇るトップアスリートだし、私みたいな一般人が釣り合うわけないよ。」

「へぇ、そんなこと言うなんてAらしくない。でもね、俺はAじゃなきゃ嫌なんだ。Aには拒否権も選択権もないからね？」

「それはどういう意……っ！」


その瞬間、私には言葉を発する権利もないというように羽生くんは私の唇を塞いだ。


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