*歌い手短編集*

病名は愛だった、センラ ページ45

突然ですが、センラは赤い糸が見えます。

それも、いつ別れるかまでわかるんや。

人の事情が見えるって大変やで？

そんなことを思いながらベランダから外を見ていた。

「あの人たちはあと数ヶ月でもう終わりやなー。喧嘩か？」

彼氏の様子がおかしいことをわかっている彼女は必死にもてなしをしている。それはもう恋を長引かせる点滴のように。

「内容的に彼女が悪い感じか？あー、怒りに身を任せて思う存分やっちゃったんやなぁ、可哀想に。」

彼の言うとおり彼女は死因を作ってしまった。それを知ってしまったら彼女は躊躇っただろう。

一方、センラの心にも違和感があった。

彼もまた、失恋をしたのだろうか？いいや。少し違う。

・


・

「あと１週間か。。。」

自分の恋の余命を知ってしまったのだ。

自分は運命の赤い糸が見えているのだ。仕方ないだろう。

そう言い聞かせるたびに写真に写った彼女をぬらしていった。


彼が鬱になる病名も、いつか見た彼女が彼をもてなす病名も愛だった


今ではもう無駄な恋に延命を乞う自分が。
固結び
自分の糸を無駄だと分かりながら片結びしてしまう自分が

「大嫌いや………!!!!!!」

前に、彼女の糸をしめたことがあった。

「…………。」

『センラくん…………？指なんかいじって何してるの…………？』

しかしそれは、彼女には不審がられ、自らの首を絞めてしまう行為となった。

センラはただ、心に空いた"溝"を埋めたいだけだが、

ほかの人では変えられないような



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「君の温もりが欲しくなるんや………!!!!!!」

美しい彼女の美しい嘘に魅惑され、用済みになった自分。

どんどん迫る"死期"ですらそれはそれは美しい"フィナーレ"のように見間違える。

だから。


その美しいフィナーレに目に涙を浮かべながら身を任せた。





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「結局、
病名は愛だった。」

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