第四章 161_俺の仕事を思い出せ ジャミルSIDE ページ12
寮生に持ってきてもらった水をそっとAの口に注ぎ、顔を横に向けて、吐き出させる。
回復薬が入った瓶のふたを開け、そっとAの口に注ぎ、飲み込みやすい様に顔を斜めにする。
どんな毒も傷も消す、熱砂の国特有の最高級の回復薬だ。
…‥頼む、効いてくれ。
だが、そんな俺達の願いは届かない。
『ッゲホ、ガハッ!』
ジャミル「っ!?」
ゴクリとAの喉笛が動いた時、まるで拒否反応を起こす様に、吐き出し、更に吐血するA。
ジャミル「っ…これじゃ効かない」
アズール「っ…ともかく、一度寮へ戻り、キチンとした治療をしましょう」
カリム「そ、そうだな…ここだと暑いし、Aの体にも……ジャミル?」
アズールの提案も、カリムの声も、今は聞き入れる事が出来なかった。
___まて、いつもどうしていた?
いつもどうやってカリムが怪我をしたとき__毒で倒れた時、
俺はどう動いて、どういう考え方をしていた?
_____『私と一緒に、みいだしてみませんか?』___
何で…Aなんだ。
罰を受けるなら、俺である筈だろ?
何で、Aなんだよ…………妖精の力を借りた対価か?
それとも、灰色の世界で、俺を庇ってできた傷か?
……コイツは何も悪くはない。
あそこから…俺を引っ張り出してくれただけじゃないか。
頼むから、これ以上俺から奪わないでくれ。
俺が望んだから?
俺が暴走したから?
これが、俺への罰だっていうのか____?
__「ジャミル!!」
焦っていた俺の脳裏に、同じ位焦ったカリムの声が聞こえた。
その途端、パチンと頬をはたかれた。
ジャミル「っ!?」
カリム「しっかりしろ!お前らしくないぞ!!」
ジャミル「カ、カリム…」
カリム「落ち着け!!どうすればいいか、お前なら分かっているだろ!!」
ジャミル「っ……」
カリム「ジャミル!!いつも俺の事を見ていたなら、今のAをどうするべきか、お前ならわかるはずだ!!」
いつも能天気な面して、俺を見ているのに…今は違う。
___これは主人としての目だ。
主従関係何て、関係ないとか言っていた癖に……いつも能天気な阿呆面の癖に……。
いや、だけど___今はこのお蔭で冷静になれた。
…そうだ、俺はジャミル・バイパー。
アルアジームを守るために生まれた。
カリムの命もずっと守ってきた。
__大切な女一人守れない従者何て、意味がない。
第四章 162_弾かれる希望 ジャミルSIDE→←第四章 160_押し寄せる絶望 ジャミルSIDE(注意)
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ALICE(プロフ) - ちりさん» オリジナル部分はメインに介入しすぎないか、たびたび不安になりますが感情を乗せて読んでいただけたならば幸いでとてもうれしいです!度々のオリジナル要素が増え続けるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。 (2020年9月24日 17時) (レス) id: 8355c0cb19 (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ブルーフェザーさん» 5章のメインストーリー楽しみにしていただきありがとうございます!迅速であげさせていただきましたので、楽しんでいただければ幸いです!今後ともよろしくお願いいたします (2020年9月24日 17時) (レス) id: 8355c0cb19 (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ゆゆさん» 返信遅くなり申し訳ありません!一気読み大変なのに、ありがとうございます!これからも頑張って行きます! (2020年9月24日 17時) (レス) id: 8355c0cb19 (このIDを非表示/違反報告)
ウミソラ(プロフ) - 五章ずっっっっっっと待っていましたぁ!!!!今度はどんなお話の展開になるか楽しみです!!!番外編も本編も楽しみにしています!!!! (2020年9月14日 21時) (レス) id: f06a1e9de4 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーフェザー(プロフ) - キタキタキタァァァ!!!五章楽しみです!!!更新ワクワクしながら待ってます!!! (2020年9月14日 20時) (レス) id: d01e8aaa3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ALICE | 作成日時:2020年7月31日 23時