第四章 56＿蛇に魅入られる ページ7
『…………‥…っぅ』
息が急にしづらくなり、そっとペンダントを握りしめる。
__嘘だ、信じたくない。
あれだけ厄介だと感じていた体質。
だけど、この力のお蔭で＿＿＿私はここに必要とされている。
___これすらも無くなったら、私は本当に只の人間。
グリム君達と肩を並べて歩く事だって出来なくなる。
“普通”であり、“異常”である私の存在……妖精も精霊もいなくなったら、
『……私は、誰から……必要と、されるの……？』
【無くなったのに、まだそこにいるの?】
また、あの夢の言葉が脳裏に響く。
あぁ、そうだ＿＿＿あの夢は‥‥…‥…。
＿＿幼い私が
＿＿不幸だと言われ続けていた私が、
＿＿＿＿＿＿＿＿“今”の私に語り掛ける夢。
そうだ、何も無くなったら‥‥…いちゃいけない。
ぎゅっと拳を固め、何も変わらぬ水面と地面を見続ける。
『どうして‥‥‥‥っ』
好かれているんでしょ、体質なんでしょ？
魔法なんかじゃ奪う事は出来ないって、言っていたのに。
『……そうだよ、奪えない筈だよ』
だから、大丈夫、きっと大丈夫、絶対大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫。
＿＿＿大丈夫じゃないと、いけないんだ。
グリム「おーい、A―！」
『！………な、何？』
背後から声が聞こえたと同時に、グリム君が背に飛びついた。
ジャミル「A。15分休憩は終わりだ、寮へ戻るぞ」
『…あ、はい。すいません』
カリム「どうした？顔色が悪いけど…まだ水がいるか？」
『い、いえ…そういう訳じゃ…ちょっと考え事をしていたので』
カリム「そうなのか？まぁ、水が欲しくなったら俺に言えよ〜」
満面の笑みを浮かべるカリム先輩。
だけど、やはり…妖精の姿は見えない。
いや、でも…カリム先輩は手を振ったりしていない。
今は本当に妖精がいないんだ。
……偶々だ。
偶々見えないだけ、ずっと見えなくなった訳じゃない。
＿＿＿今日はいないだけだ。
カリム「A？どうした？俺の顔に何かついてるか？」
『………い、いえ…何でも」
カリム「そうか？じゃあ戻るぞ」
『……はい』
ぐっと拳を固め、水面をチラリとみてからカリム先輩の後を追いかけた。
ジャミル「……………ふっ」
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ALICE(プロフ) - 麗さん» 細かなご指摘ありがとうございます。作者も本職業ではないため、誤字や文字の間違いなどがありますが、ご了承下さい。今回は麗様の意見を参考に修正させて頂きました。小さなご指摘いつも本当にありがとうございます！ (2021年2月28日 2時) (
レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - 麗さん» 何度もご指摘ありがとうございます！修正いたしました！麗様がおっしゃるように修正しました！「いっぱい」と「一杯」だと意味が違ってきますし。「一杯」という意味は主に分量などで使われますから今回の場合はひらがなでの「いっぱい」がふさわしいと考えました。 (2021年2月28日 2時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 27ページ 一杯つくるよ いっぱい と平仮名の方が意味的にはしっくりくるのではと思ったのですが、、、、余計な一言ですよねこのコメント、、、 (2021年2月28日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 21ページ 瞬間掌返し？」 二重カッコではないのでしょうか？ (2021年2月28日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ウミソラさん» 長いシリーズですが、最初から読んでいただきありがとうございます！更新頻度を落とさず、頑張って行きますので、よろしくお願いいたします！ (2020年7月29日 18時) (レス) id: 8355c0cb19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ALICE | 作成日時：2020年7月27日 17時
