第四章 74＿優しくなんかない ジャミルSIDE ページ25
ジャミル「もう休め。俺は戻るから」
ポンと彼女の肩に手を置く。
俺達とは違い、細く華奢な身体…よくこの学園で食われないものだ。
人が望むように、
両親が望むように、
彼女が望むように優しい笑みを浮かべ、背を向ける。
このまま無視して部屋を出ればよかった
＿＿＿だったら、きっと聞かずに済んだのに。
『……本当にいらないのは、私なのに、なぁ』
ポツリと呟かれた彼女の“本音”。
ドアノブに触れた手が止まった。
そして、思わず振り返ってしまった。
ジャミル「A」
やめろ、それ以上何も言うな。
何も言わずに外へ出ろ。聞こえなかったフリをしろ。
精神はそう訴えるのに、俺の体はもう一度、彼女の目の前まで来ていた。
『……いらないのは、カリム先輩じゃなくて…私なんですよ。グリム君が優秀になっちゃったら、私こそお役御免ですし』
アハハと俺に向けた乾いた笑みを向ける。
ぐっと拳を握る力が強まった。
___やめろ、俺にそんな顔を向けるな。
ジャミル「そんな事は…ない」
___お前がいらない?当然だろ、ここは魔法学校だ。
魔法が使えないお前なんて、いる価値はない。
ジャミル「きっと戻るさ…心配しなくても」
__役に立たないのなら、精々俺の言う通りに動いてくれ
精神がそう訴える中、俺は右手首の……銀のバングルに手を伸ばしていた。
ふと、その手が彼女の物と重なる。
『すいません、さっきのやつで汚れちゃったかもしれません』
ジャミル「！……い、いやどこも汚れていない」
『…良かった。折角貰った物ですから、壊しちゃ大変ですしね』
さっと手を引っ込めた俺と、バングルを優しく撫でるA。
____“ソレ”のせいで、今お前は苦しんでいるんだぞ
____“ソレ”を渡した“俺”のせいで……こんな事になっているんだ。
お前もカリムと同じ、鈍感なのか
変な所で鋭いくせに、何でそこには気付かないんだ……。
言えよ、カリムのせいだって、
ここに誘ったオレのせいだって、
言って罵る資格はお前にはあるのに…………気づけよ。
『ジャミル先輩はやっぱり、優しいですね』
ジャミル「……そんな事は、ない」
俺が優しい…だと？
どこまでお気楽なんだ。
……………お前に褒められる資格なんて＿＿＿俺には…ないんだ。
第四章 75＿2人で1人だ→←第四章 73＿お前は“駒”だ ジャミルSIDE
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 284人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ALICE(プロフ) - 麗さん» 細かなご指摘ありがとうございます。作者も本職業ではないため、誤字や文字の間違いなどがありますが、ご了承下さい。今回は麗様の意見を参考に修正させて頂きました。小さなご指摘いつも本当にありがとうございます！ (2021年2月28日 2時) (
レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - 麗さん» 何度もご指摘ありがとうございます！修正いたしました！麗様がおっしゃるように修正しました！「いっぱい」と「一杯」だと意味が違ってきますし。「一杯」という意味は主に分量などで使われますから今回の場合はひらがなでの「いっぱい」がふさわしいと考えました。 (2021年2月28日 2時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 27ページ 一杯つくるよ いっぱい と平仮名の方が意味的にはしっくりくるのではと思ったのですが、、、、余計な一言ですよねこのコメント、、、 (2021年2月28日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 21ページ 瞬間掌返し？」 二重カッコではないのでしょうか？ (2021年2月28日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ウミソラさん» 長いシリーズですが、最初から読んでいただきありがとうございます！更新頻度を落とさず、頑張って行きますので、よろしくお願いいたします！ (2020年7月29日 18時) (レス) id: 8355c0cb19 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ALICE | 作成日時：2020年7月27日 17時
