第四章 72＿零れる形 ページ23
『…すいません、カリム先輩、今……っ』
カリム「何で、泣いているんだ」
ガーネットの優しい瞳が私を心配そうに見つめている。
そっと彼の褐色の手が私の目尻を撫でる。
え…と私がこぼした声と共に、涙が自身の掌に落ちた。
『…………泣いて…………どう、して……？』
自分でも何故、泣いているのか、分からなかった。
だから先輩に何て言おうか…と考えていた時、彼の背後から誰かが駆け寄ってきた。
ジャミル「カリム、A、早く列に……！A、どうした？」
『……‥…い、いえ、何でも』
ジャミル「何でもない事ないだろ。気分が悪いのか？」
ジャミル先輩も泣いている私に動揺した様子で、後ろからグリム君もやってきた。
器用に私の肩まで登って、頬をペタペタと触ってくる。
グリム「A、また心臓痛いのか！？く、薬は？！へ、部屋か！？」
カリム「…しん、ぞう…？」
ジャミル「どこか悪いのか？なら、すぐ部屋に戻った方がいい」
大丈夫…と告げないといけないのに、次々流れる涙のせいで、口が上手く動かない。
ふと、カリム先輩がガシッと私の手を掴んだ。
カリム「A、部屋に戻るぞ」
『え…いや、でも…』
カリム「いいから戻れ」
そういい、カリム先輩が私の手を引っ張り、中に戻ろうとした時、カリム先輩の肩をジャミル先輩が掴んだ。
ジャミル「カリム、寮生達に指示を出したのはお前だ。お前が残らずどうする」
カリム「…だ、けど…Aが」
ジャミル「…‥‥……Aは俺が連れて行く。お前は戻れ」
ジャミル先輩がカリム先輩を見て…いや、睨んでいる？
さっきは歯向かえないとか言っていたのに……どうしてこういう時は強く言い返せるのかな。
あぁ、駄目だ、ボーッとした頭じゃ何も考えれない。
ふと、カリム先輩の手が私から離れた。
そして、何も言わないまま、寮生達の元へ戻っていく。
ジャミル「グリム、お前も戻れ。Aは俺が連れて行く。
今のカリムが何を言い出すか分からない」
グリム「うぅ…で、でも」
ジャミル「大丈夫だ、しっかり部屋まで誘導する。薬の場所は…Aは分かるか？」
『…は、ぃ』
グリム「うぅ…分かったゾ。A、ちゃんと休むんだゾ！」
『……うん』
ペタペタと私の頭を撫で、グリム君は肩から降りて、庭へ駆けていった。
そしてジャミル先輩が私の手を握り、腰にもう片手を添える。
ジャミル「戻ろう、A」
『……はい』
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ALICE(プロフ) - 麗さん» 細かなご指摘ありがとうございます。作者も本職業ではないため、誤字や文字の間違いなどがありますが、ご了承下さい。今回は麗様の意見を参考に修正させて頂きました。小さなご指摘いつも本当にありがとうございます！ (2021年2月28日 2時) (
レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - 麗さん» 何度もご指摘ありがとうございます！修正いたしました！麗様がおっしゃるように修正しました！「いっぱい」と「一杯」だと意味が違ってきますし。「一杯」という意味は主に分量などで使われますから今回の場合はひらがなでの「いっぱい」がふさわしいと考えました。 (2021年2月28日 2時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 27ページ 一杯つくるよ いっぱい と平仮名の方が意味的にはしっくりくるのではと思ったのですが、、、、余計な一言ですよねこのコメント、、、 (2021年2月28日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 21ページ 瞬間掌返し？」 二重カッコではないのでしょうか？ (2021年2月28日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ウミソラさん» 長いシリーズですが、最初から読んでいただきありがとうございます！更新頻度を落とさず、頑張って行きますので、よろしくお願いいたします！ (2020年7月29日 18時) (レス) id: 8355c0cb19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ALICE | 作成日時：2020年7月27日 17時
