〈ツイステ〉 ねじれた世界の御伽噺 第八幕

第四章 46＿鍵あけの呪文 ページ47

しかし、困ったな…。


ここはスカラビア寮…建物の構造なんかも彼らの方が詳しい。
あと、この部屋からどうやって抜け出そうか…。


グリム「あ、そうだ！A！この間の授業の奴、やってみればいいんだゾ！」

『…授業？』

グリム「クルーウェル先生の授業！えっと…鍵あげの呪文って奴！」



そういえば、ホリデーに入る1週間くらい前にそういう実施授業を見せて貰った。
内容は『鍵閉めの呪文』と『鍵あけの呪文』だ。

名前の通り、鍵を閉めたり開けたりできる。


【妖精・精霊学】の授業だったため、妖精に協力して貰う授業で、
実際に成功した生徒は妖精に協力を要請できる私だけだった。

これに関しては…ちょっと申し訳ない気もしたけど。



グリム「オレ様もエースやデュースも訳わかんなかったけど、Aだけは出来てたゾ！」
『そういえば…ジャック君が悔し気な顔していたね』


意外と妖精に好かれるジャック君。
だけど頭の耳と尻尾を遊ばれて全然協力してくれなかったみたいだ。


ノームも頭の上に乗っていたな…獣人好かれるのかな？
まぁ、耳はモフモフしているし、気持ちは分かる。



グリム「おい、A！早くやってここから脱出するんだゾ！」

『また囲まれた意味ないんじゃ…』

グリム「そこは…オレ様の炎と妖精の力を足せば、何とかなるんだゾ！」

『…まぁ、それもそうかな』


私自身に力は無いが、対価次第では協力して貰う子は多い。
ここで呼び出せる子と言えば………


砂漠だからノームが呼べるかな…？




グリム「あ、でも対価がいるとかなったら…今日クッキーは」

『持ってきている訳無いでしょ…でもいいよ。ここを出る為だもん』

グリム「で、でもよ…血とか髪とかだったら」



さっきまで協力的だったグリム君だが、急に渋り始める。
素直じゃないけど、私の体を気にかけてくれているのだろう。



『大丈夫だよ。私なら』

グリム「う〜ん」

『それに、ユールの支度もあるし、ゴーストさん達がごちそう片手に待っているしね』

グリム「あ、そうなんだゾ！ごちそう！」

『ここから脱出して、一緒に食べよう』

グリム「A………よし、脱出するんだゾ！」


ポンポンと彼の頭を撫でて、ドアノブに手を掛ける。


周りを見るが、以前のように妖精たちが現れてくれない。



＿＿呪文を言っている間に、来てくれるだろうか……。




『……………すぅ』

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