〈ツイステ〉 ねじれた世界の御伽噺 第八幕

第四章 34＿置いていかない ページ35

カリム「そんなに怖ぇのか？」


余りに震えている私を見て、カリム先輩は私の顔を覗き込む。



カリム「何で、高い所が怖いんだ？落ちたりしたのか？」

『…小さい頃に、高い所に置いてきぼりにされた事があるので……。
それで………高い所にいったら、置き去りにされるって…何か身体が反応しちゃうんです』

グリム「そんな理由で怖がってたのか！？オレ様は置いて行ったりしねぇーぞ！」

『…‥…うん、そう…何だけどね』



どうしても身体が怖くなる。
グリム君もカリム先輩も何も悪くないのに……。


『…ご、ごめんなさい。やっぱり、私＿＿』

カリム「おいて行ったりしないさ」

『え…』

カリム「Aがそうなったのは、置いて行った奴等のせいだ。
だからお前が謝る必要はない。でも、そうか……う〜ん」


カリム先輩は腕を組み、何か考え込む。そして、「よし！」と声を出した。
何が良しなのだろうか…。

すると、私を強く引き寄せ、絨毯のフリンジを掴んだ。



カリム「楽しめよ！楽しんだら、そんな怖い事一気に吹き飛ぶ！」
『え…そ、それってどういう…‥‥うわぁああ！！？』



絨毯が一気に急降下していった。
いや、楽しむってそういう事！？

天真爛漫な笑みで悪魔か！！！




グリム「ふにゃぁ〜！！！？」
『っ、ちょ、ちょっと待って！！待って！！むりむりむり！！！』



ギュッと瞳を閉じて、浮遊感に耐える。



カリム「目を開いてみろ」


カリム先輩は私の手を握り、耳元でそう言った。


怖い気持ちは当然ある…だけど、カリム先輩の声に妙な安心感を感じ、目をそっと開く。



『っぅ………………わぁっ』



そして、声を上げる。




月明りに照らされる砂漠、そしてダイヤモンドのように輝く星々。




怖くて目を瞑って見ないようにしていたけど＿＿＿＿とても美しい景色が広がっていた。




カリム「怖がるな、俺がいるから。Aを置いて行ったりしない！」

『………カリム先輩』

カリム「どうだ？凄ぇ、綺麗だろ？」



満面の笑みをこちらに向けるカリム先輩。
先ほどまでの私だったら、怖がるだけしか出来なかったけど…。



＿＿＿もう、誰も置いて行ったりしない。






『はい、とっても綺麗です…カリム先輩、ありがとうございますっ』

カリム「！…‥‥…あ、あぁ。気に入ってくれてよかったよ」



私の顔を見て、少し戸惑ったような顔を浮かべていたけども、変わらない笑みを浮かべてくれた。

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