第四章 20_ユール ページ21
__1か月前 オンボロ寮
冬が始まる少し前、ソーマさんが久々に寮へやってきた。
しかし1人じゃない。
灰色のぼろぼろの服をまとっていて、鮮やかな赤の帽子を見せびからかすようにかぶっている。
背丈は小さい子供だが…灰色の顎髭を生やしている。
見た目はノームに似ているが、ノームほど小さいわけではない。
指が4本で耳が尖っている…人間じゃないな。
ソーマ「息災か?」
『はい……えっと』
ソーマ「こいつは【トムテ】。穏やかな性格で、農家に繁栄をもたらす妖精だ」
『あ…は、はじめまして』
コクリコクリと頷くトムテという妖精。
ソーマ「もうじきユールの季節だからな。
ユールには彼の好きな
『…ユール?』
ソーマ「あちら側の世界では北欧の冬至祭と言われていたものだ…。
馴染みある言葉で言えば…クリスマスの事だ」
北欧の歴史は知らないなけど……クリスマスの事をそう呼んでいたのか。
『この世界にもあるんですか?』
ソーマ「ユールという言葉は古代魔法語訳として扱われている。
普通に今はクリスマスでいいが、妖精や精霊は歴史を重んじるからな」
『わ、わかりました』
私がそういうとトムテさんがコクリコクリと頷き、その場から消えた。
ソーマ「ポリッジが気に入れば、春には美味しい野菜が周りに咲くだろう。
ただし怒らせると、オンボロ寮がとんでもない事になるから注意しろ」
『は、はい』
ソーマ「ユールになるとユール・ゴートというトールを引いた2頭のヤギが見回りに来る。
当日に準備が出来てないと、こいつも怖いぞ。
今年は12月25日から1月1日、年明けまでだ」
『そ、そんなに…』
ソーマ「まずユール・ログを燃やすことだ」
『ユール・ログ?』
ソーマ「クリスマス前夜に炉で焚く大きな薪の事だ。
火はクリスマス当日の朝に点火され、「十二夜」まで燃えているようにする。
途中で火が消えるとその翌年は不吉なことが起こるとされているからな」
『それ、ずっと付きっ切りって事ですか…うわぁ、大変』
ソーマ「と、言いたいが…俺達の世界でもその文化はさびれたので、薪に扮したブッシュドノエルを食べればいいさ」
『難易度下がりましたね』
ソーマ「詳しい事は当日までに教えてやる。2日前位に俺もくるから、じゃあ、またな」
ソーマさんは私の頭を撫で、いつの間にか目の前から消えた。
ツノ太郎さんと言い‥勝手に消える人が多いな。
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ALICE(プロフ) - 麗さん» 気づかないうちに誤字ってました!!何度もありがとうございます!修正させて頂きました!! (2021年2月28日 2時) (レス) id: a3dd506789 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 27ページ グリム の リ がアールだけになってます。英語が打てないので言葉での説明になってしまうのですが、、、 (2021年2月27日 23時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - 琴葵さん» 遅い返信になりましたことお詫びいたします。コメントありがとうございます!このシリーズを気に入って下さり、とてもうれしいです!今後とも精進いたしますので、よろしくおねがいします! (2020年9月24日 17時) (レス) id: 8355c0cb19 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 面白すぎて一気にシリーズを見てしまいました!!!更新楽しみに待ってます!!!!!!!!どうかご自愛くださいませ! (2020年7月27日 11時) (レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - 雪さん» 2回目のコメントありがとうございます!今後とも更新進めていきますのでよろしくお願いいたします! (2020年7月26日 20時) (レス) id: 8355c0cb19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ALICE | 作成日時:2020年7月24日 18時