第六章52_痛み出す傷 ページ5
__廊下
ラギー「ったく……なんだってレオナさんはオレに寮を預けるなんて言い出したんだが。とんだ貧乏クジッス!」
私やルーク先輩と同じタイミングで学園長室を出たラギー先輩は重たい溜息を吐きながらそう言った。ぶつくさと文句を垂れるラギー先輩に「まあまあ」と宥めるのはルーク先輩だ。
ルーク「
ラギー「信頼なんかで腹は膨れねぇんスよ。後で高い肉奢ってもらわないと、割にあわねぇ〜」
ルーク「……そうだね。そのためにも、彼らには無事に帰ってきてもらわないと」
『無事に、ですか』
本当に無事に戻ってこられるのだろうか。不謹慎だがジェイド先輩の言う通り、最悪な事態に陥っている可能性は十分にある。ルーク先輩の言葉にすぐ肯定できなかったのは、その可能性の方が大きいからだ。
私達の中の空気が重たくなった時、前方からダダッと足音が聞こえてきた。
ジャック「ラギー先輩!!」
勢いよく駆け寄ってきたのは、運動着姿のジャック君。いつもは廊下を走らないという校則を律義に守っているのに、今日はフル無視している。
ジャック「メッセージ読みました。さっき学園を襲撃した連中に、レオナ先輩が攫われたって……どういうことすか!?」
ラギー「どうもこうも、そのまんまッスよ。レオナさんの代わりにオレが寮の奴ら集めて状況確認するんで、君にも手伝ってほしいッス」
ジャック「は、はい。それは勿論すけど……」
困惑するジャック君は傍にいた私の方に目を向け、「どうしたんだ!?」と仰天していた。
ジャック「A!あちこち傷だらけじゃねぇか。もしかしてお前らも奴らにやられたのか?」
彼に言われ、自分の体を見下ろす。気づいていなかったが確かにボロボロだ。
文化祭が終わってスカートに戻していたから、露出する肌には擦り傷が目立ち制服は泥や砂だらけ。自覚したからか、擦り傷の部分がヒリヒリする。
『っ…けがは大したことない。でも…私より、他のみんなとグリムが』
ルーク「我々NRCトライブのメンバーは……オンボロ寮に集まってVDCの反省会をしていたところを襲撃されてね。レオナくんのように、ヴィルとジャミルくん、そしてグリムくんも連れ去られてしまった」
言いよどむ私の代わりにルーク先輩が事の顛末を説明してくれた。
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時間の止まったリス - 6章の新しいお話が解禁になりましたね! 今月末にも新しい章が解禁になります(☜何の話するか忘れた)。5章のお話にあったように、就職活動お疲れ様です。次の更新まで首を長くして、でも適度に(語彙力がしにました)待ってます! (2022年3月4日 14時) (レス) id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ほんぽんさん» あけましておめでとうございます!ここまで読んでくださり、ありがとうございます!新年が始まり、作者自身も忙しくなり更新が出来ない時期が度々出てくるかもしれませんが、頑張って続けていきたいと考えています。これからも応援をよろしくお願いいたします! (2022年1月3日 23時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
ほんぽん - あけましておめでとうございます☀️ 昨日から新年が始まりましたね。作者様も、今年もお体に気をつけてお話を作ってくれたら嬉しいです。応援してます! (2022年1月2日 9時) (レス) @page8 id: 36b84f5ade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ALICE | 作成日時:2021年12月30日 22時