〈ツイステ〉 ねじれた世界の御伽噺 第五幕

第三章 29＿紳士の社交場 ページ44

フロイド「あー、小エビちゃ〜ん。いらっしゃ〜い」


後ろから聞こえて子供のような声にビクリとする。
振り向くといつの間に背後にいたのか、フロイド先輩が立っていた。
私の方を見て、それは楽しそうに笑みを浮かべている。


フロイド「それに、ウニちゃんも来たんだ」
ジャック「だからウニじゃねぇっつってんだろ！」


コツコツとまた足音が聞こえ、そちらを向くとジェイド先輩が立っていた。


ジェイド「おや……これは、これは。早速のご来店ありがとうございます。
ようこそ“モストロ・ラウンジ”へ。当店のご利用は初めてでいらっしゃいますね？」

ジャック「昼から思ってたが……あんた、分かってて質問するのが趣味なのか？」


ジェイド「ふふ、念のためですよ。
では、僭越ながら当店をご利用いただくための諸注意を説明させていただきます。

“モストロ・ラウンジ”は紳士の社交場。他寮との揉め事は御法度です。
ここでは、どの寮の生徒もオクタヴィネルのルールに従って頂きます。

ルールを守って楽しくラウンジをご利用くださいね」


『は、はい、ありがとうございます』

ジェイド「さて……お客様、本日のご用件は？」


分かっているのに敢えて話させる。

そうして相手の動揺を誘い、怯えさせて、自分達のペースへ持っていく。
詐欺でもよくつかわれる。
恐喝とかでも精神的に揺さぶる手段は多くあるからな。


『支配人とお話がしたいです。取次、出来ますか？』

ジェイド「ふふふ………かしこまりました。
今、支配人は別のお客様のご相談を受けておりまして。
しばらく店内でお待ちいただけますか？」

『…そういう事でしたら、待たせてもらいます』


自分達が9時に来いと言ったのではないのか……。
などと思いつつ、私達はリーチ兄弟に案内され、奥のソファに座る。
……流石学園長を脅して手に入れたラウンジ、家具が良いモノだ。


ジェイド「そうそう。当店はワンドリンク制です。必ず何か１杯ご注文くださいね」

さっとメニューを渡される。ちゃんと商売しているんだな。


フロイド「ねーねー、今日はセルキーいねーの？」


私の背後に周り、ぎゅっと抱き着いてきたフロイド先輩。
耳に息がかかり、ビクッとする。


『え、えっと…今日はいませんでした』
フロイド「なんだ、つまんねーの。今日来たら、俺が絞めるつもりだったのにぃ〜」


プニプニと私の頬を突いてくる。
何が楽しいの、この人。

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