〈ツイステ〉 ねじれた世界の御伽噺 第五幕

第三者 17＿ガヴァン、帰る ページ32

あぁ、そうか…私に触らないとこの子は見えないのか。

ポンと彼の肩に上に手を置く。


『………えい』
ジャック「……ぬわ！？何だソイツ！？」」


驚くジャックを不審そうに見ていたエース君達だが、
やがて気付いた様に私の肩に触れ、足元にいるガヴァンを見た。



エース「……あ、本当だ。いつの間に」
『毎回、私に触るまでの反応長いからやめて欲しいんだけど』


ガヴァン【まだまだ青いですね〜

　 僕の姿が見えないようで】

デュース「こ、子供？」

『えっと、この子は……』



アズール「海の妖精“セルキー”。アザラシの毛皮をまとった妖精と言われている。

その毛皮をはがせば、人間になれるという伝承を持つ。

また、彼らの血液が海に流れると…嵐が起こり、船が沈むと漁師たちからは恐れられている」


ガヴァン【おぉ、博識ですね〜

　 さすがは、海の魔女を目指すボーヤだけの事はあります。

　 黄金の契約書の噂は海の妖精達にも人気ですよ】


アズール「妖精に知ってもらえる何て、光栄ですね。
しかし…まだ子供ながら、ジェイドの魔法を掻き消せるとは…恐れ入ります」


ガヴァン【まだまだですよ〜

　 母上と父上は、もーっと大きな水の塊をだせるです！】

グリム「おぉー！凄ぇゾ！
じゃあ、今からケイセイ逆転に…！」


ガヴァン【いや、もう帰るですよ？】

「「「えぇ！？」」」



ガヴァンの言葉にグリム君だけではなく、エース君達も叫ぶ。



ガヴァン【愛おしい人間の子を見に来ただけですし、
　
　 そろそろ帰らなければ、母上が心配しますので！

　 それじゃあ、A〜！また海へ遊びに来て下さいね！】


では！と満面の笑みを浮かべると、その場から消えた。
ガヴァンが立っていた場所には少し水溜まりが出来たが、すぐに乾いた。



グリム「今やってくれねーと意味ねーんだゾ！！」
『まぁまぁ』



フロイド「…ねぇ、アズール。あの小エビちゃん」

ジェイド「セルキーを見えただけではなく…言葉も読み取り、指示を出しましたね」

アズール「オンボロ寮の女子監督生……噂通り、精霊や妖精に好かれる存在、という訳ですね」


ジャック「！……」



耳がピクリと動いたジャック君は私を庇うように立ち、
アズールさん達を睨み付けた。


そんな睨みをフッと鼻で笑うアズールさんは、

手にある黄金の契約書を見せてきた。

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