第一章 87_真っ赤な苺タルト ページ38
【えっ!リドルってイチゴのタルト食べたことにゃーの?】
【うん。お母様が身体に毒だからだめだって】
【そりゃ食べ過ぎはよくないかもしれないけど……。
あのさ、俺んちケーキ屋なんだ。今から食べに来いよ】
【えっ……でも】
【一切れくらい、大丈夫だって】
【俺はホールごと食いたい位だにゃぁ〜】
一度は拒絶しようとするリドル先輩の手をトレイ先輩がとった。
リドル先輩も暫く悩んでいたけど、頷き、2人に続いた。
場面がまた変わる。
厨房のような場所、恐らくトレイ先輩の家だろう。
目を輝かせるリドル先輩の前には、
彼が食べたがっていた真っ赤な宝石のようなイチゴがのった、イチゴタルトが。
____真っ白なお皿に乗った、真っ赤な苺のタルト
___ボクにとってどんな宝石より
__キラキラ輝いて見えた
____一口食べたタルトは、すごく甘くて
______食べたことないくらい美味しくて……
_____ボクは一口ずつ
_____味わいながら
____夢中になって食べた
イチゴタルトをとても美味しそうに頬張る幼い先輩。
その横で、同じようにイチゴタルトを食べるトレイ先輩とチェーニャさん。
とても、幸せな3人の姿に私も頬を緩ませる。
けど、次の瞬間。
リドル先輩の声が強張った。
____時間も忘れて。
3人でイチゴタルトを食べている幸せ場面に砂嵐が走り、
家の中で…リドル先輩が母親に怒られている場面に切り替わった。
【何てこと!自習をサボッただけでなく、外で砂糖の塊を食べてくるなんて!
あの2人がリドルを唆したのね。
あんな悪い子たちと、二度と一緒に遊ぶことは許しません!】
【ごめんなさい、お母様……もうしないから許して……!】
【お黙り!お前がルールを破るからいけないのよ。
ああ、やっぱり自由時間なんて持たせるんじゃなかった。
もっともっと完璧管理しなくては……】
『待って…駄目!!』
リドル先輩を叱る母親に手を伸ばしたが……過去の記憶の中。私の手はすり抜ける。
母親の前で涙を流し、許しをこうリドル先輩。
どうして…この涙が見えないの…?
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作者名:ALICE | 作成日時:2020年7月15日 11時