〈ツイステ〉 ねじれた世界の御伽噺 序幕

序幕 2＿新入生？ ページ4

走って辿り着いたのは図書室らしき部屋。
ここは一体どこなんだ？


キョロキョロとあたりを見渡すと、目に飛び込むのはユラユラと宙に浮かぶ本。1つや2つじゃない。天井までそびえる本棚に、浮かぶ書物達。どう考えても現実ではありえない光景だった。



『…夢なら早く醒めてよ』



息を整えながら小さく呟いた。すると、タッタッタと小さな足音が私に近づいてくる。




グリム「俺様の鼻から逃げられると思ったか？ニンゲンめ！」

『ひっ！？』




足音の正体はあの狸。私の臭いを辿って来た？



グリム「さぁ、丸焼きにされたくなかったらその服を……ふぎゃぁ！？」



ボワッと青い炎を吐き出しジリジリと迫って来た狸。しかし次の瞬間、黒い紐のようなものにその体が拘束された。「痛ぇゾ！なんだぁこの紐！！」と声をあげながら、抜け出そうとしている。



？「紐ではありません、愛の鞭です！！」



扉の音なんて聞こえなかったのに一瞬で私達の間に現れた異様な衣服を身にまとう長身の男性。なにより異様なのは、顔につけている黒い仮面だ。男性は私の姿に目をとめると「ああ、やっと見つけました」と近づいてきた。



？「君、今年の新入生ですね？」


その言葉を皮切りに、勧告し始める。
怒られているんだろうけど、使い魔や鏡の間等意味の分からない事を言って困りきってしまう。拘束された狸を見ると、口を塞がれている為、モゴモゴと呻き声を上げる事しかできていなかった。



？「さあさあ、とっくに入学式は始まっていますよ。鏡の間へ行きましょう」

『新入生って…』

？「貴方が目覚めた沢山の扉が並んでいた部屋ですよ。この学園へ入学する生徒は、全てあの扉をくぐってこの学園へやってくるのです。通常、特殊な鍵で扉を開くまで生徒は目覚めない筈なんですが…」


チラリと口をふさがれる狸を見た。
確か、この子が出していた炎で棺の蓋が開いたんだっけ。それは私のせいではないのでは？




『あの大量の棺は、扉だったんですね‥』

？「それまでの世界に別れを告げ、新しく生まれ変わる。あの扉の意匠にはそんな思いが込められているんです」

『はあ。……あ、あのそれより、ここは』


？「おや？君、まだ意識がハッキリしてないんですか？空間転移魔法の影響で記憶が混乱しているんですかねぇ…」



空間転移魔法？どういう事かちゃんと説明して欲しい。
しかし、時間もない事なので、と歩きながら説明されることとなった。

序幕 3＿ナイトレイブンカレッジ→←序幕 1＿火を噴く狸

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す