〈ツイステ〉 ねじれた世界の御伽噺 序幕

序幕 20＿大釜少年、デュース ページ22

咄嗟にエースさんの前に立つその人に向かって声を張った。



？「人を捕まえる魔法！？足を止める、いや、縄で拘束する？それとも……えぇっと……」



いや、そこまで考えこまなくても…足引っ掛けたりするだけでよかったのに。




グリム「何でもいいからぶちかますんだゾ！早く！」

？「何でも！？なんでも……ええい！何でもいいから、いでよ！重たいもの！」



男の子がそういうと突然エースさんの頭上から大釜が落下した。




『す、凄い…これも魔法』
エース「ぐぇえ！？何だ、これ大釜！？」



かなり重そうだが、これで逃げられる心配も無くなった。
安堵する私を横にグリム君は大笑いしている。




グリム「ぎゃははは！見てみろ、A！エースのヤツ、デッケー釜の下敷きになってペッタンコになってるんだゾ！だっせーゾ！」
『煽っちゃさっきの二の前ですよ』



これで喧嘩になれば怒られる。学園長に、私がね。




？「まさか大釜が出るとは。ちょっとやりすぎたか……？」
『いえ、ご協力、ありがとうございました』
？「あ、あぁ…いや」




エース「あいたた…。いーじゃんかよ、窓拭き100枚くらいパパッとやっといてくれたってさー」


大釜をどけて、起き上がるエースさん。頭をさすっているが同情の余地はない。



『流石に2人で100枚は無理です。それにこれは学園長命令ですから』

エース「ちぇ〜……」

？「罰で窓拭き100枚って……一体君達は何をやったんだ？」



協力もしてくれたし、私は簡潔に今朝の事を紺色髪の子に説明した。この子は右目にスペードマークのメイクをしている。何かの流行りなのかな？


石像を燃やした…という辺りから凄い顔をされた。
生徒がこんな顔をするんだ、学園長がご立腹なのも当然だろう。




？「せっかく名門校に入学できたっていうのに初日から何をしてるんだか……」

エース「……るせーな。つーかお前、誰？」

デュース「僕はデュース。デュース・スペード。クラスメイトの顔くらい覚えたらどうだ？えーと……」

エース「お前も覚えてねーじゃん」

『まあ初日ですし……私は霧島Aです。そしてこっちの子が…‥…ん？』


紹介しようと隣を見たが、彼の姿がどこにもない。



エース「あっ！毛玉がいない！」
『まさか今度は…』


グリム「へっへーん！あとはオマエらに任せたんだゾ！」



じゃあな〜と去って行くグリム君。
今度は君か…。問題を起こさないで欲しい。

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