序幕 9_グリム君の夢 ページ11
『女であることを最初に言った方が良かった、かな…』
座ろうかと思ったがソファーに埃がつもっているのに気づく。とりあえず、掃除だ。
よしっと意気込み、帚か雑巾を探そうとした時、外から雨の音が聞こえてくる。
同時に、天上からポタン、と雫が額に落ちてきた。
『雨漏り……。どうやって修理しようかな……』
_「ぎえー!?急に酷ぇ雨だぞ!!」
振り返ると先ほどの狸…いやグリム君がいた。
グリム「ぎゃっはは!コウモリが水鉄砲くらったみたいな間抜けな顔してるんだゾ!」
『鳩が豆鉄砲では?』
グリム「細かい事は良いんだゾ!」
どうやら懲りずにまた忍び込んだ様だ。この学園、トラブルが今までなかったと聞いたけど、セキュリティー大丈夫でしょうか。
『どうしてそんなにこの学校に入りたいんですか?』
グリム「単純な話なんだゾ!オレ様は大魔法士になるべくして生を受けた天才だからなんだゾ!」
彼が言うには馬車が来るのを待っていたが、迎えが来ないから自分から出向いたそうだ。
羨ましいな…自分の中でそんな目標がある何て。
『とってもカッコいいですね。きっとなれますよ、大魔法士に』
グリム「へへ、そうだろ!」
エッヘンと胸を張るグリム君。何だかナデナデしたくなる子だなと考えていると私とグリム君の頭に水滴が落ちてきた。「に゛ゃ!?」というグリム君の叫び声が響く。
グリム「天井から雨漏りしてやがるんだゾ!ふぎゃっ!また水が降ってきた!
オレ様のチャームポイントの耳の炎が消えちまう〜!」
小さな手で耳の炎を守るグリム君。
床に浸透する水滴を見て、本題のバケツを探しに行く為に立ち上がる。
『何箇所か雨漏りしているんでしょうね』
グリム「こんな雨漏り、魔法でパパーっと直しちまえばいいんだゾ……って、オマエ魔法使えねえのか。ププーッ!使えねえヤツだゾ!」
『……ごめんなさい』
グリム「……い、いや、ほんとの事だけどよぉ。そんなすぐ謝られても…‥調子狂うんだゾ‥。ふぎゃっ!?」
『あ、えっと…バケツ、探してきますね』
また水滴がグリム君の頭に落ちてきたので、私はバケツを探す為、談話室を出た。
**
__オンボロ寮 廊下
暗い廊下に出て、バケツを探す。
床は埃、天井は蜘蛛の巣だらけ。最低でも10年以上使われていないのだろう。
でも、叔母の家で倉庫暮らしをしていた私にとっては広いし豪華だからこれ以上贅沢言うつもりはない。
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ALICE(プロフ) - モモカ🌼さん» ご指摘いただきありがとうございます!作者の確認不足が多いため誤字等多数ございます。そのたびに指摘していただき、本当に申し訳ないです!ご協力ありがとうございました! (2021年10月13日 21時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
モモカ🌼 - 序章の40話の「覗く」ですが、これは多分、「除く」の方だと思います。お話面白いので、無理のない程度に進めていってほしいです…………! (2021年10月8日 7時) (レス) @page42 id: f5d7639b7a (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - エマさん» 閲覧ありがとうございます!ご指摘の部分を修正させて頂きました。ありがとうございます! (2020年9月13日 0時) (レス) id: 8355c0cb19 (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - あわさん» 返信と修正が遅れてしまい、申し訳ありません!ただいま修正しました、ご指摘ありがとうございます! (2020年9月13日 0時) (レス) id: 8355c0cb19 (このIDを非表示/違反報告)
エマ - はじめまして、読み始めたばかりですが楽しんでます。プロローグ33話で雨降って〜の地が時になってました。 (2020年9月12日 21時) (レス) id: 36990451b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ALICE | 作成日時:2020年6月18日 3時