劫火の永遠 2【炎炎ノ消防隊】 (ページ32)

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【80】　涙ページ32

『‥…どうしてそんな待っていられるの』

気持ち悪いとか、怖いとか思うのが普通だ。
いくら善人でも、善人が過ぎる……そんなの偽善だ。

なのに…何で、まっすぐ、私を見ようとするんだ。

森羅「俺たちは……＿＿＿仲間だから」

『……』

森羅「第8は仲間を見捨てない。だから俺たちはお前を見捨てたりなんかしない。
お前が離れても、俺たちは必ずそこからお前を連れ戻す。

＿＿＿俺は……お前を救う“ヒーロー”になる」

自分と正反対の紅い瞳。
悪魔の目ともいわれる、不気味な色、血を表す不吉な色、炎を表す不吉な色。

だけど、私の目には…とてもキラキラ輝いていて、綺麗だ。

『………………時間、かかるよ』

森羅「それでいい」

『……………途中、嫌になるよ』

森羅「なるわけねぇ」

『………‥‥‥‥‥‥……逃げるかも、しれないんだよ』

森羅「だって連れ戻してやる。絶対に……お前を独りにしない」

『………私は、“操り人形”だよ』

森羅「……‥違う＿＿＿お前は、“人間”だ」

＿＿ポタッ、ト

お盆の上に、しずくが落ちる。
何かな…と思ったら、何故か流れ落ちている涙。

ああ、また心がポカポカする。
暖かい。

１つ足りないパズルのピースがピッタリはまったみたいに、スッキリしている。
こういう時は、何を言えばいいんだろう。

分からない……分かるはずがない。

人前で泣くのは……兄以外、初めてだから。

「ん」と差し出されたティッシュを受け取る。
ポンポンッと頭を撫でてくれる森羅。

森羅「ちゃんと出るじゃん、涙」

『……っ』

森羅「言っただろ、お前は人間だって。

凄ぇ優しくて、頭良くて、気が利いて、俺等より強い……“A”っていう人間だよ」

＿＿【強くなったな、A。身体的だけじゃなく…心の方も】

(バーンッ)

アーサー「…この悪魔！！ヴァルキリーを泣かせるとは何事だぁ！！」

森羅「げっ、アーサー！…ずっと迷子になっとけよ！！」

アーサー「えぇい！黙れ！！そこを動くな！この騎士王たる俺が、このエクスカリバーの名をもとにかじきの錆にしてくれる！」

森羅「刀の錆、な。プラズマだから錆びね…って、危なっ！？」

アーサー「逃がすか、悪魔！！」

ワーワーと2人で追いかけ愛っこするのを見て、唖然としてしまう。
さっきのシリアスはどこ行ったんだよ‥。

『ふっ…はは、本当に馬鹿だな』

いつのまにか、涙は止まっていた。