劫火の永遠 2【炎炎ノ消防隊】 (ページ2)

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【50】　人形ではないページ2

彼女の言動にあきれつつ「じゃあいいです」と背を向けた。
が、その前に炎が飛んできたので槍の風圧で吹き飛ばす。

静香「アンタたち、侵入者でしょ？
ならあたしが遊んであげる～…失脚の種になるわよ、プリンセス火華のさぁ」

『…彼女に恨みでもあるんですか』

静香「私の方が優れているのに、あんなブスが目立つのが気に入らないのよ」

‥本当にあきれた。
プリンセス火華についてよく知らないけど…アイリスさんが気になるという事は、
元はいい人であったのであろう。

……自分の保身しか考えている人は、あんな目をしない。

＿＿【火ではなくお前自身が焼かれるぞ】

…それはきっと彼女もそうだったのかもしれない。
炎を恐れたがゆえに、あの力を手に入れ、ここまでの地位にのし上がった。

やり方は汚いけど、並大抵の努力と覚悟がなければできない。
私はそれを知らないし、知る必要もない。

けど…＿＿こんなバカに馬鹿にされるのは、哀れだ。

『‥邪魔をするなら、容赦しません』

静香「無能力で、忌み子が何をできるのよ！！
アンタはただ、あたしたちに従う人形であればいいのよ！！！」

そして紫龍炎静香は炎で出来た鞭を私に向ける。

昔は、よくこれで焼かれた。

人形のように…遊ばれた。

あの家に、彼らに、あの人達に＿＿＿でも。

桜備【お前はとても優しい奴だ。人の心に寄り添える…立派な消防士だ】

森羅【Aは第8の消防員だ！】

『私は………もう人形じゃない』

その場から飛び上がり、向かってくる炎の鞭を風圧で消し飛ばした。

「え…」と固まる静香。
それを見据え、私は槍を静かに飛ばした。

静香「ひやぁ！？」

悲鳴を上げて、逃げようとする背後を見て、拳銃を取り出した。

『……痛みを伴う覚悟がない消防官は、いらない』

バンッと、発砲音が廊下に響いた。

＊＊

『…シスターはいない、か』

一通り部屋を見回り、シスターがいない事とデータがない事を確認して、部屋を出る。
…ミノムシ状態の紫龍炎静香は無視だ。

『…とりあえず火縄中隊長に……ん？』

ふと、視界に青白い何かが通った。

それは＿＿＿ウサギのように見える。
けどただの兎じゃない。

青白い炎がまとわれた兎だ。

『…え？』

その兎は私の姿を見ると、どこかへピョンピョンと飛び跳ねて行く。
まるでついてこいといっているようだ。

『…っ、待って！』

私はその兎を追いかけた。