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翌日、椿と七桜さんは白藤屋さんに
出来上がった最中を届けに行ったのだが、
私はただ家の中で待っていることしか出来ず、
ソワソワして落ち着かなかった。
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そろそろ帰ってくる時間だと気づき、
私は店の外に出て二人が戻ってくるのを待ってみる。
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「……あ、」
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遠くから二人が歩いているのが見えて、思わず走り出した。
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「……椿!どうだ…っ…わッ…」
椿「…っ…、たく…、下駄で走るな。」
「…ご…ごめん、」
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目の前まで来た瞬間に足元のバランスを崩し、
転びそうになったのを咄嗟に彼に支えられた。
まるで抱きしめられてるみたいなその体制が恥ずかしくて、
もう大丈夫だよ…?って言うのに、
彼の腕は離してくれないどころか
更にギュッと力を込めてくる。
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七桜「……あ、あの、私、先に戻ってますね!」
椿「…ああ。そうしてくれ。」
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お疲れ様でした、と言って頭を下げた七桜さんに、
私も彼の腕の隙間からペコっと頭を下げた。
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椿「………少し歩くか。」
「…え、」
椿「嫌か?」
「…ううん、嫌じゃない…!」
椿「じゃあちょっと付き合え。」
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やっと私を離して、先を歩き出した椿。
でもやっぱり離れちゃうのは寂しいな…、
と思っていると…、
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椿「…たまには、夫婦らしいことでもしてみるか。」
「…夫婦らしいこと…?」
椿「……ん。」
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ぶっきらぼうに差し出された右手。
綺麗な夕日を浴びてキラキラと光る景色。
リレーのバトンを渡すかのような
全く色気のない差し出し方なのに、
それでも私の心臓はどくどくとうるさくて。
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ゆっくりとその手に自分の手を重ねれば、
ぎゅ、と力強く握り返された。
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椿「…小さい手だな。」
「…………るさい。」
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バカにするみたいにクスッと笑う椿。
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…これも、彼にとっては駆け引きなんだから、
ドキドキなんて、したりしない。
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紙兎(プロフ) - はなやさん» 椿は主人公が自分のことを好いているとは微塵も気づいていないので、「今は体だけでも、いつかは彼女の心まで自分のものにしたい…」と願っているのです!聞いてくださってありがとうございました(´˘`*) (2020年10月12日 22時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
はなや - わぁ。素敵。泣美しい...変な質問で申し訳ないのですが、キスマークの所の話でつまりは2人はシたってことですよね...?なのに38辺りではいつか身も心も...って言っていましたがどういうことか教えていただきたいです、すみません(><) (2020年10月12日 1時) (レス) id: f5341d42e0 (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - サユさん» はじめまして!お仲間がいらっしゃって嬉しいです、ドラマは終わってしまいましたがお互い話を完結できるように頑張りましょう1 (2020年10月1日 14時) (レス) id: d9da71655b (このIDを非表示/違反報告)
サユ(プロフ) - こんばんわ★初めまして!紙兎さんの作品初めて読みまして。。。面白くて一気に読んでしまいました!話の展開とか自分の作品と違っていて面白いなーって(*^^*)あ、自分も今【わたどう】をテーマに作成していまして。。。更新頑張って下さい!応援してます! (2020年9月29日 22時) (レス) id: ff7a33a461 (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - れさん» どうぞどうぞ書いてください、私も見てみたいです!(´˘`*) (2020年9月24日 23時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紙兎 | 作成日時:2020年8月14日 9時