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いよいよ祈晴祭の当日。
そして、七桜さんが、
白藤屋さんに椿が作った御菓子を届けに行く日でもあった。
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「…はい、出来た。」
七桜「…ありがとうございます、わざわざすみません!」
「大切なお客様のところに行くんだから、
これくらいはしなきゃね。」
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私は、椿に頼まれて、七桜さんの着物の着付けをしていた。
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七桜「いいんですか…?
こんな素敵なお着物を借りてしまって…、」
「気にしないで。
…あ、やっぱりこの色似合ってる。」
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彼女はとても可愛らしい顔立ちをしているので、
着物は華やかで可愛らしい桜の柄を、
簪もピンク色の花をモチーフにしたものを選んだ。
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七桜「…よし、じゃあ私そろそろ…」
「…一つだけいい?」
七桜「なん、ですか…?」
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彼女の表情が、少しだけ強ばる。
私、昔からこういう感は鋭いの。
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「あなた、…なにか隠してるでしょ。」
七桜「…えっ、」
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私の言葉に、僅かに動揺した七桜さん。
私だって確信があるわけじゃない。
ただ、直感的にそう思ったの。
この子は、ただ単純に、
光月庵で働きたくてここに来たわけじゃない。
何か他に目的があるんじゃないかって。
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七桜「…」
「…いや、いいや。そこにはあんまり興味ないし。」
七桜「…え、」
「あなたが何をしようとしてるかはどうでも良いの。
……でも、」
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そっ、と彼女の手を握る。
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「……………椿の邪魔だけはしないで。」
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これだけ、守ってくれれば何も言わない。
これを守ってくれないなら、私はあなたを敵とみなす。
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______…そんな思いを込めながら。
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紙兎(プロフ) - はなやさん» 椿は主人公が自分のことを好いているとは微塵も気づいていないので、「今は体だけでも、いつかは彼女の心まで自分のものにしたい…」と願っているのです!聞いてくださってありがとうございました(´˘`*) (2020年10月12日 22時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
はなや - わぁ。素敵。泣美しい...変な質問で申し訳ないのですが、キスマークの所の話でつまりは2人はシたってことですよね...?なのに38辺りではいつか身も心も...って言っていましたがどういうことか教えていただきたいです、すみません(><) (2020年10月12日 1時) (レス) id: f5341d42e0 (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - サユさん» はじめまして!お仲間がいらっしゃって嬉しいです、ドラマは終わってしまいましたがお互い話を完結できるように頑張りましょう1 (2020年10月1日 14時) (レス) id: d9da71655b (このIDを非表示/違反報告)
サユ(プロフ) - こんばんわ★初めまして!紙兎さんの作品初めて読みまして。。。面白くて一気に読んでしまいました!話の展開とか自分の作品と違っていて面白いなーって(*^^*)あ、自分も今【わたどう】をテーマに作成していまして。。。更新頑張って下さい!応援してます! (2020年9月29日 22時) (レス) id: ff7a33a461 (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - れさん» どうぞどうぞ書いてください、私も見てみたいです!(´˘`*) (2020年9月24日 23時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紙兎 | 作成日時:2020年8月14日 9時