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あれから3日が経つと、
椿の言っていた通り、
花岡七桜が住み込みで働き始めた。
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いくら才能を見込まれた職人でも、
すぐに和菓子を作ることはできないみたいで、
まずは下っ端として洗い物をやっている。
それでも、彼女は本当に和菓子が好きらしい。
厨房にいられるだけで幸せそうな顔をしていた。
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…でも本当は、
洗い物は私がやるべき仕事なんだよな…。
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「………ねえ、」
椿「…なんだ。」
「……厨房の洗い物、私がしちゃダメかな…?」
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夜、寝る前のわずかな時間に、
勇気を出して彼にそう提案してみた。
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椿「…………………ダメだ。」
「…えっ、なんで…」
椿「なんでもだ。」
「…だって…あれは本来私がやるべき仕事でしょ?
花岡さんは、職人として来てもらってるんだし、
洗い物は私がやった方が効率が良いんじゃない?」
椿「…俺には俺の考えがある。
厨房は朝早くから動かなきゃならないし、お前には無理だ。」
「…私じゃ力不足ってこと?」
椿「…ああ、そうだ。」
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キッパリとそう言われてしまうと少し凹む。
…でも、ここで引きさがったら
今までと何も変わらないままだ。
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「…じゃあ明日から1週間、
1週間だけ、チャンスをください…。」
椿「…チャンス?」
「明日から1週間、私に厨房の洗い物をやらせて欲しい。
それでも使い物にならない、邪魔だと思ったら、
その時は椿の言う通りにするから…!」
椿「…お前、なんでそこまで…」
「……お願い…っ」
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椿の袖口をぎゅっ、と掴んで必死に頼み込む。
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椿「…っ…、…勝手にしろ。」
「…本当に…!?」
椿「…ただし、皿洗いなめんなよ?
店のためにならないと思ったらすぐにやめてもらう。」
「…うん、分かった!」
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紙兎(プロフ) - はなやさん» 椿は主人公が自分のことを好いているとは微塵も気づいていないので、「今は体だけでも、いつかは彼女の心まで自分のものにしたい…」と願っているのです!聞いてくださってありがとうございました(´˘`*) (2020年10月12日 22時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
はなや - わぁ。素敵。泣美しい...変な質問で申し訳ないのですが、キスマークの所の話でつまりは2人はシたってことですよね...?なのに38辺りではいつか身も心も...って言っていましたがどういうことか教えていただきたいです、すみません(><) (2020年10月12日 1時) (レス) id: f5341d42e0 (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - サユさん» はじめまして!お仲間がいらっしゃって嬉しいです、ドラマは終わってしまいましたがお互い話を完結できるように頑張りましょう1 (2020年10月1日 14時) (レス) id: d9da71655b (このIDを非表示/違反報告)
サユ(プロフ) - こんばんわ★初めまして!紙兎さんの作品初めて読みまして。。。面白くて一気に読んでしまいました!話の展開とか自分の作品と違っていて面白いなーって(*^^*)あ、自分も今【わたどう】をテーマに作成していまして。。。更新頑張って下さい!応援してます! (2020年9月29日 22時) (レス) id: ff7a33a461 (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - れさん» どうぞどうぞ書いてください、私も見てみたいです!(´˘`*) (2020年9月24日 23時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紙兎 | 作成日時:2020年8月14日 9時