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Tsubaki Side
椿「…ねえ、あんたさ、
…………………俺と結婚しない?」
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俺がそう言うと、彼女は大きく目を見開いた。
まあ、…それもそうか。
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ごめん、今の忘れて。
と言って、その場から去ろうとしたら、
後ろから、
“いいよ”
という声がした。
.
.
“しましょう、結婚”
.
椿「…………本気で言ってるのか?」
“私は本気。………でもあなたは違うでしょ?”
椿「………………なぜそう思う?」
.
“……だって、さっき一緒にいた女の人、
…………あなたの大切な人ですよね。”
椿「…!」
.
.
本当のことを言えば、
今のプロポーズは、半分冗談で、半分本気だった。
別に相手が彼女である必要はなかったのだが。
あの家(光月庵)から、
…いや、俺から、
Aを解放できるなら、代わりは誰でもよかった。
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Aは俺といると辛そうな顔をする。
増してや、自分は、あの家の正式な跡取りではない。
彼女を幸せにできる保証などどこにもなくて、
自分といても、不幸にしてしまうだけかもしれない。
それならばいっそ、
…手放してしまった方がお互いの為なのではないか。
そんな思いは、日に日に大きくなっていく。
.
.
“だから結婚っていうのは冗談でしょ?
……本当は何が目的?”
椿「…フッ…、」
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意志の宿る、強い目。
作った菓子を見ればすぐに分かった。
…こいつには才能がある。
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椿「………あんた、名前は。」
“………………………七桜。…花岡七桜。”
椿「………じゃあ、七桜。
あんたをうちで雇ってやってもいいよ。」
“………え、”
椿「もしうちで働く気があるなら、
3日後の正午、光月庵に来い。
…来るも来ないもあんたの自由だ。」
.
これは一種の賭けだった。
あの店を俺のものにするための。
成功を掴む、太陽丘の手。
才能溢れる、新しい風。
老舗の看板だけで成り立っている
今の腐ったあの店を変えるには、
彼女のような職人の存在が必要だと感じた。
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紙兎(プロフ) - はなやさん» 椿は主人公が自分のことを好いているとは微塵も気づいていないので、「今は体だけでも、いつかは彼女の心まで自分のものにしたい…」と願っているのです!聞いてくださってありがとうございました(´˘`*) (2020年10月12日 22時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
はなや - わぁ。素敵。泣美しい...変な質問で申し訳ないのですが、キスマークの所の話でつまりは2人はシたってことですよね...?なのに38辺りではいつか身も心も...って言っていましたがどういうことか教えていただきたいです、すみません(><) (2020年10月12日 1時) (レス) id: f5341d42e0 (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - サユさん» はじめまして!お仲間がいらっしゃって嬉しいです、ドラマは終わってしまいましたがお互い話を完結できるように頑張りましょう1 (2020年10月1日 14時) (レス) id: d9da71655b (このIDを非表示/違反報告)
サユ(プロフ) - こんばんわ★初めまして!紙兎さんの作品初めて読みまして。。。面白くて一気に読んでしまいました!話の展開とか自分の作品と違っていて面白いなーって(*^^*)あ、自分も今【わたどう】をテーマに作成していまして。。。更新頑張って下さい!応援してます! (2020年9月29日 22時) (レス) id: ff7a33a461 (このIDを非表示/違反報告)
紙兎(プロフ) - れさん» どうぞどうぞ書いてください、私も見てみたいです!(´˘`*) (2020年9月24日 23時) (レス) id: 4f2a78c08e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紙兎 | 作成日時:2020年8月14日 9時