白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ8)

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66.何かが足りないページ8

岩本side

　「もう1回お願いします」

　曲が流れ、1人で踊るA．

　それを俺たちが見る．

佐久間「うーん、確かに変と言うか…」

阿部「いつものAらしくないね…」

ラウ「俺も思った…」

岩本「…」

　Aはダンスが本当に上手いのだが、最近はいつものAとは違う気がしていた．

　本人もそれには気づいているようで．

　違うと言うか、足りないと言うか…

　「はぁ…はぁ…」

向井「照兄、一旦休憩挟もうや」

岩本「そうだな」

目黒「A、水飲みな」

渡辺「これで汗も拭いとけ」

　「うん、ありがとう…」

　ペタッと床に座り込むA．

　新曲はかなりポップな曲となっている．

　明るい調子の曲は、Aの得意分野のはずなのだが…

　足りないのは表現力なのか、体のキレなのか…

宮舘「A、最近寝れてる？」

　「うん…いつもたくさん寝るようにしてるよ」

　体調はいつも通り最強に元気な状態．

　一体何が…

渡辺「腹減った〜」

深澤「あら、もうお昼の時間だね．

　今日は1日レッスンだし、お昼にしようよ」

岩本「んじゃ、1時間後に再開な」

佐久間「りょうかーい」

　各自昼食をとるために、レッスン室を出る．

　床に座ったまま水を飲むA．

　顔に覇気と言うか、元気が無い．

　「…」

岩本「A、お昼行こう？」

　「うん…」

　いつもできていることが急にできなくなるなんて、辛い以外に無い．

岩本「A、何か悩んでることとかある？」

　「うーん…無い、かな」

岩本「そうか…」

　元気出してやりたいのだが…

　今何か変に声をかければ、Aに気をつかわせてしまう．

　「…照くん、ごめんね．

　今は1人にさせてほしいかも…」

　Aが申し訳なさそうに呟く．

　Aも大人だ、悩んでいる時にごちゃごちゃ言われるのが嫌なんだろう．

岩本「ん、わかった．

　飯はちゃんと食えよ？」

　「うん…」

　Aがとぼとぼと1人で行ってしまった．

岩本「A…」

　力になってやりたいのだが、何が原因なのかわからない以上、かけてやれる声も無い．

　Aが力を発揮できない原因がわかれば…

深澤「…あれ、Aは？」

岩本「今は1人にさせてほしいって」

ラウ「そっか…」

　俺たちがAの力になってやらなきゃいけないのに…