白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ48)

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Aside

佐久間「Aちゃん？どうしたの？」

　不思議そうに私を見る佐久間くん．

　そうだよね、佐久間くんもきっと疲れてるんだし、早く帰りたいよね…

　私もさっきまでは早く帰りたいって思っていた．

　…やっぱりダメだ、ちゃんと帰らなきゃ．

　これ以上寝過ごす訳にもいかないし！

　「…佐久間くん、たくさんお話ししてくれてありがとう！」

佐久間「そんなの当たり前でしょー？

　それに俺たち、まだバイバイしないからね！

　もうちょっとだけだけど、まだ一緒にいるよ！」

　佐久間くんはそう言うと、私に手を差し出してきた．

　男性らしく大きくて筋肉質だけど、綺麗でいつも私の頭をポンポンとしてくれる手．

佐久間「お手をどうぞ、お姫様♪」

　「うん！」

　私は佐久間くんの手を取った．

　さっき私のほっぺに走った冷たい感覚が、今度は私の手から伝わってくる．

　「佐久間くんの手、今日は冷たいね」

佐久間「今日ちょっと寒かったからかな？

　 Aちゃん、あっためてくれる？」

　「もちろん！」

　私は佐久間くんの冷たい手をギュッと握って、一緒に電車に乗った．

　ここから家までだいたい20分．

　佐久間くんと一緒にいれば、その20分もすごく短く感じちゃうかも．

　電車の中は結構混んでいて、椅子に座れそうに無い．

　しょうがないかと思って、私と佐久間くんは車両の端っこの方で立っていた．

　小さな声でまた佐久間くんがお話ししてくれて、しばらく経った時．

　“ガタンッ！”

　「きゃっ…！」

　電車が大きく揺れて、私は手すりから手を離してしまった．

　ヤバい、倒れる…！

佐久間「Aちゃん！」

　佐久間くんが私の腰に手を回してくれて、グイッと引き寄せてくれた．

　おかげで私は倒れずに済んだ．

　「あ、ありがとう…！」

佐久間「良かった良かった！

　手すりじゃ危ないから、俺の腕に掴まってて？」

　腰に手を当てた佐久間くんに「ほらほら！」と誘われて、私は佐久間くんの腕に手を回した．

　手すりよりも圧倒的に安全そうで、それに加えて安心感がある．

　なぜかドキドキしちゃって、私は話を続ける佐久間くんの顔を直視できなくなった．

　優しいのにカッコいいとか…

　罪な男だよ、佐久間くん…！

　結局ドキドキしたまま20分が経って、あっという間に家に着いてしまった．