白雪姫は夢を見る Ⅲ (ページ5)

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63-2.ディナーページ5

渡辺side

渡辺「明日は何も予定無いんだよな？」

　「うん、お家でゆっくりしようと思ってるよ！」

　本当は飯とか買って行ってやりたいんだが…

　あいにく、俺は明日ドラマの撮影が入っている．

　…まあ、たまにはAも1人でゆっくりする時間が欲しいよな．

店員「お待たせ致しました、黒毛和牛のローストビーフと特製スープ、イベリコ豚のステーキです．

　赤ワインもお持ちしました」

　肉のいい匂いが、俺たちの周りいっぱいに広がる．

　店員が俺たちの前に料理を並べ、グラスにワインを注いでくれた．

渡辺「こうしてAとちゃんと食事すんの、久しぶりだな」

　「ふふっ、そうだね．

　私もあんまりお酒飲まないし…」

渡辺「今日は美味い肉食って酒飲んで、疲れ取っちゃおうぜ」

　「うん！」

渡辺「じゃ、乾杯」

　「乾杯♪」

　“カランッ”

　夜景を後ろに、俺たちは乾杯をした．

　ベリーの爽やかな香りが期待を膨らませる．

　俺とAは同時にグラスに口をつけた．

渡辺「…ん、美味いなこれ」

　「美味しいね〜！」

渡辺「ははっ、口の周りにめっちゃついてんぞ笑」

　「わっ、本当だ…！」

　Aが唇をペロッと舐め回す．

　唇がリップとワインで紅く染まっている．

　「どう？とれたかな？」

渡辺「ああ、綺麗になったよ」

　「へへっ、恥ずかしいな〜笑．

　じゃ、お肉もいただいちゃいます！」

渡辺「ん、じゃあ俺も」

　肉を頬張るAの顔、一生見てられる．

　ほっぺに肉を溜めて、リスみたいでかわいい笑．

　「おいし〜！最っ高だよ、翔太くん！」

渡辺「…ああ、良かった」

　2人で美味い肉を食って、たくさん話して、Aのかわいいところを写真撮ったりして…

　ディナーしているだけなのに、かなり楽しい時間を過ごせたと思う．

渡辺「…あ、もうこんな時間か．

　 A、そろそろ出るぞ」

　「…待って、翔太くん」

　俺が帰るために立ち上がろうとしたら、Aに止められた．

　さっきまでと声のトーンが違う．

　Aは下を向いて、膝の上に置いている拳を握りしめていた．

渡辺「どうした？」

　俺は座り直して、Aの話を聞こうとする．

　「…私、この間ね…

　凛花さんのグループに入らないかって誘われたの」

渡辺「…！」

　凛花って…あの女か．