84.裏路地 ページ39
岩本side
誰も目立たない裏路地．
マスクにゆるい私服姿のAが、全身を黒で覆った男に腕を掴まれていた．
？「こんなにも僕はあなたを愛しているのに…！
なぜわかってくれないんですか…！」
「やだ…！離して…！嫌…！」
壁にAの手首を抑えつけて、今にも唇が触れそうだ．
岩本「やめろっ！」
俺は咄嗟にAの元に駆け寄った．
Aの腰に手を添えて、俺の元にグイッと寄せる．
俺の腕の中に収まったAは肩をビクつかせていた．
？「あなたは…岩本照…？
僕のAちゃんに何をするんですか…」
岩本「お前のAじゃない、俺たちのAだ！」
「…！」
岩本「Aの家に手紙を送りつけてたのもお前だろ！」
？「手紙…あぁ、ラブレターのことですか．
そうですよ、あれは僕が書いたものです．
僕はAさんをこんなにも愛しているのに、なかなかお返しの手紙が届かなかった…
だから今日、直接プロポーズに来たんです．
なのにAさんは僕のプロポーズを断った…
なんてかわいそうな僕…！」
岩本「何言ってんだお前…
Aが断るのは当然だろ！」
？「いいですよねぇ、あなた方は…
Aさんとずっと一緒にいれて幸せですよね…
殺したくなるほど羨ましいですよ…」
Aが俺の腕の中でガタガタと震えている．
岩本「…あぁ、幸せだぜ．
だからお前みたいなクソ野郎に、Aを嫁に渡す訳にはいかねぇんだよ！
これ以上Aに近づこうとするなら警察呼ぶからな！」
俺は警察をいつでも呼べる状態になっているスマホの画面を男に見せた．
さすがにそれにはビビったのか、男は路地裏からゆっくりと姿を消した．
岩本「……はぁ…A、大丈夫か？」
俺は腕の中にいるAに声をかける．
「うぅ…ありがとう…照くぅん…！」
涙をポロポロと流して俺に顔を向けるA．
ギュッと俺に抱きついてきた．
岩本「怖かったな、もっと早く気づいてやれなくてごめんな…」
俺もAを抱きしめ返して、まだ少し震えているAを落ち着かせるように頭を撫でる．
岩本「聞きたいことはたくさんあるんだけど…
寒いし風邪ひくから、一回帰ろう？」
「ぐすっ…うん…！」
2人で手を繋いで、Aの家に向かって歩き始めた．
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あたりん(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (3月24日 16時) (
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作者名：絢音 | 作成日時：2024年3月6日 22時
